●模範を示す

 模範を示すことも重要だ。そのためには、アナリティクスとAIを目に見える形で活用するリーダーらに光を当て、社内マーケティングを通じて、そのアプローチの有効性を組織全体に広める必要がある。

 また、会議においてデータとアナリティクスへの望ましい姿勢を形成することも、リーダーの模範的な行動に含まれる。「その提案には、裏づけとなるデータはありますか」などと頻繁に尋ね、ほかの人たちにもこの問いかけを奨励すべきだ。

 データとアナリティクス活用の模範を示し、売り込むことの重要性を認識しているリーダーは、あまりに少ない。とはいえ、AIの推進者を指名する企業は増えている。デロイトが2018年に実施した「エンタープライズAIの現況」という調査では、回答した米企業幹部の45%が、自社は経営幹部をAIの推進者に指名していると答えた。

 アナリティクスとAIの「実践コミュニティ」を形成することも、模範例を広める方法となる。

 ●昇進と報酬

 これも変革の後押しにつながる。データとアナリティクスを巧みに活用した人が、より早い昇進と昇給を享受すれば、ほかの従業員の注意を引くことになる。当然ながらこれは、リーダー陣の支持・承認を得たうえで、人事部によって行われる必要がある。

すべてをうまく実行するためには

 製薬大手のイーライリリー・アンド・カンパニーは、自社の文化を変えるために、こうした手法を多く取り入れている。

 最高データ・アナリティクス責任者のビピン・ゴパル(同社初のCDOを務めた)は、研究と統計を深く重視する自社の文化を土台に、社員の関心を高度なアナリティクスとAIに引きつけている。これらの技術は究極的に、新薬を患者に届けるための時間とコストを減らすという形で業務に価値をもたらしうる――このことを伝えるのが彼の目標の一つだ。

 そのためにゴパルのチームは、以下を含むさまざまな施策を進めている。

・アナリティクスとAIを早期に導入した社員の成功に光を当て、彼らの協力を得てほかの社員たちを引きつける。

・データ分析、ビジネス、技術の分野から経験者を集めて職能横断チームを編成する。コンピュータサイエンス、応用数学、エンジニアリング、行動経済学の観点を結集させ、プロジェクトに多様性とイノベーティブな思考を取り込む。

・組織全体でさまざまなプログラムを立ち上げる。社内オープンハウス、フォーラム、実践コミュニティ、教育施策、リーダー会議など。これらは実質的に、アナリティクスとAIを社内で売り込む役割を果たし、支持者と推奨者を生むことにつながる。