●自分のネットワークを多様化するチャンス

 最近は、多くの企業がインターナショナルだ。バーチャルワークを取り巻く議論は、かつて同じ職場で働いていた同僚とのネットワークをどう維持するかが中心になりがちだ。人間は物理的に近くにいる人と、感情的にも社会的にも深いつながりを構築する傾向があるので、これは当然とも言える。

 しかし、互いに離れた場所から仕事をすることには利点もある。たとえば、それまでは力を入れていなかった世界中の同僚やクライアントと親しくなるチャンスだ。

 バーチャルワークは、物理的に近くにいる人と仕事をしたがる傾向を低下させるという意味で、大きな「平等化装置」とも言える。また、物理的に遠くにいるだけでなく、考え方も多様な人と仕事をするチャンスももたらしてくれる(人と一緒に文化と価値観もついてくる)。

 したがって現在は、あなたのネットワークを多様化する大きなチャンスだ。そのためにやるのは、1対1の電話をアレンジしたり、調子はどうかと尋ねるメールを送ったり、興味深い記事を転送するといった小さなことでよい。

 多くのビジネスパーソンのネットワークは驚くほど均質だ(たいてい同じ会社や支社で働いている人だらけだ)ので、これをやれば大きな競争優位につながる。また、自分のネットワークを打たれ強くしたり、「橋渡し型資本(すなわち多様な同僚との不均質なネットワーク)」をつくったりすることで、究極的には有用なネットワークをつくることもできる。

 もちろんオフィスのない職場環境は、よいことばかりではない。人間の性質は一夜では変わらないし、インフォーマルなコミュニケーションや権力闘争は簡単には消えないだろう。

 また、経済活動が少しずつ元に戻り、一部のビジネスパーソンが出社を再開したら、2層構造の社内政治が生まれる恐れもある。つまり出社して対面交流ができるビジネスパーソンが、在宅勤務者よりも(パフォーマンスは同レベルなのに)優遇される可能性がある。

 これは現実的な懸念だ。しかし、本稿で紹介した戦略を取れば、「会社生活」の概念が変わり続ける現在のような移行期にも、「政治的に」成功できる可能性が高まるはずだ。


HBR.org原文:Navigating Office Politics When There Is No Office, October 12, 2020.


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