●中味のある人が勝利するチャンス

 誰でも人生に一度は「口では大きなことを言うが実際には何もせず」、自分の(極小の)実績をしつこく喧伝し、実力が伴わないのに上司に取り入って昇進を遂げた、腹立たしい同僚を持ったことがあるだろう。この種の社内政治は、ほぼどんな組織でも厳しく批判される。

 幸い、バーチャル環境では、この種の自慢屋や目立ちたがり屋が勝利を収めるのは非常に難しい。休憩室や仕事後の駐車場までの道のりなど、自分のアジェンダを上司に売り込む「すき間時間」が乏しいからだ。

 しかもズーム会議では1分の延長は一生に感じられるので、彼らの長話や自慢話は、(まさに)時間の無断と見なされる可能性が高い。バーチャル環境では、仕事がらみのメッセージングではなく、純粋なアウトプットに基づき、人が評価される可能性がずっと高いのだ。

 バーチャルワークへのシフトは、無意識のバイアスを抑える助けになる場合もある。ワードプレスを開発したオートマティックの場合、チャットを使って採用活動をしているほどだ。このため新規採用者は、初出社の日まで同社の誰とも直接口をきいたことがないということも多い。

「当社では、どうすれば仕事だけを見られるか、仕事とは無関係なことを(評価から)排除できるかをいつも考えている」と、創業者のマット・マレンウェグは『ニューヨーク・タイムズ』紙に語っている

「どんな服装をしているか、どんな見た目か、なまりや人種やジェンダー、住んでいる場所、そういったことは究極的にはどうでもいいことだ。IT企業にとっては、特にそうである。だから、それを採用プロセスから完全に取り除いてしまおうと考えている」