特にいまは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、ビデオ会議が日常風景となり、とりわけ仕事ではメールや電話を使うのは古いと考えている人も多いかもしれない。だが、筆者らの別の実験では、「時代遅れ」の電話に映像を加えたからといって、他人とつながっている感覚がそれ以上強化される可能性がないことを示唆している。

 その実験で我々は被験者に、面識のない相手に対していくつかの質問をしてもらった。たとえば、「これまでずっと、やりたいと夢見てきたことはありますか」「なぜ、いままでやらなかったのですか」という内容だ。

 被験者は3つの方法、すなわちライブチャット中にリアルタイムで文字のやり取りをするか、音声だけで話をするか、あるいはビデオチャットで会話をするか、いずれかでやり取りを進めてもらった。

 被験者にはまず、相手とやり取りする間、自分がどのような気持ちになるかを予想してもらった。その後、やり取りを終えた後、実際にどのように感じたかを答えてもらった。

 彼らは、やり取りを始める前は、コミュニケーションの方法によって相手とのつながりや気まずさを感じる度合いに差が出ると予想はしていなかったが、この実験でもやはり、実際にやり取りした後に文字よりも会話のほうが強いつながりを感じていた(気まずさの点では差がなかった)。

 また、会話をしている時に相手が見えているからといって、つながりがより強く感じられるわけではなかった。つながっているという実感は、相手が見えるからではなく、相手の声を聞くことで感じられるようだ。この結果は「理解やつながりを生じさせる本当のシグナルは、相手の声である」という他の複数の研究結果とも一致している。

 筆者らの実験結果を念頭に置くことは、たしかに重要である。だからといって、同僚や友人とはいつも電話で話すべきだということではない。

 文字によるコミュニケーションのほうが簡便で効率的な場合もあり、相手も都合のよい時に返信できるというメリットがある。簡単なメッセージや近況を手早く知らせたい時、あるいは添付資料を送りたい時には、メールやテキストメッセージを利用するのがよいだろう。

 だが、筆者らのデータが示唆しているのは、人は電話で直接話すことに対して必要以上に気まずさを感じ、逆につながりが強化されるにもかかわらず、それを過小評価する傾向があることだ。その結果、話したほうが得られるメリットが多い場合でも、文字ベースのメッセージを送ってしまう。

 したがって、気が向いた時だけでなく、もう少し人と直接話すことを心がけてほしい。そうすれば、自分自身も相手の側も気分がよくなるはずだ。


HBR.org原文:Research: Type Less, Talk More, October 05, 2020.


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