多くの企業が、育児休暇制度やウェルネス関連の福利厚生を見直し、コロナ禍の収束後もリモートワークを継続するための取り組みをしているが、忌引(きびき)休暇制度の変更は優先課題に入ってはいないだろう。それはおそらく、私たちの多くが、職場で死や悲嘆、あるいは喪失に触れることに居心地の悪さを感じるからだ。

 だが、いまこそ、忌引休暇について考えるべき時だ。組織はどのようにすれば、悲嘆に暮れる従業員をもっと上手に支援することができるのか。留意すべき点は5つある。

 ●もっと多くの休暇を与える

 米国人材マネジメント協会(SHRM)の調査によれば、米国では企業の88%が有給の忌引休暇を与えている。だが、その期間はたいてい3日で、寛容な企業でもせいぜい5日だ。愛する人が亡くなった場合、有給であれ無給であれ、休暇の付与を義務づける連邦法はない。州法ではオレゴン州が唯一の例外で、2014年にこれを義務化する法律が施行されている。

 しかし、葬儀の手配や参列するための移動、あるいは遺産の整理や死者を追悼するための時間を考えると、仕事から数日離れるだけでは不十分だ。組織は、有給休暇を増やす努力をすべきだ。

 フェイスブックは2017年、有給の忌引期間を倍増させ、直系の家族が死亡した場合は最大20日間、傍系の家族が死亡した場合は最大10日間とし、基準を設定した。同社の最高執行責任者(COO)、シェリル・サンドバーグが2015年に夫を亡くし、その経験を著書『OPTION B』として世に送り出したことは、無縁ではないだろう。

 近親者と死別した悲しみは、いくつかの段階を経てやってくること覚えておいてほしい。それゆえ、死別直後に10日間、のちに10日間(時間をおいて開かれる追悼式のために、あるいは故人にとって重要な日を祝福するために)というように、忌引休暇を数回に分けて取得したいと考える人もいるかもしれない。

 ●家族の定義を広げる

 多くの企業の忌引制度は、直系の家族と傍系の家族とで忌引期間を分けている。最もよいのは、パートナーや子ども、親や祖父母、おじ、おば、いとこ、あるいは友人や近隣住民など、大切な人すべてに適用できる柔軟な制度だ。

 また、流産や死産にも忌引を適用すべきである。ウーバーやレディットなど一部の企業は、そうした措置を講じている。

『ジャーナル・オブ・オブステトリクス』によると、流産や死産を経験した女性の29%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)、24%が不安障害、11%が中度から重度の鬱を経験するという。忌引休暇は、組織があらゆるタイプの死別を経験する人たちを支援するチャンスだ。

 ●死亡の証拠を求めてはいけない

 死亡証明書や追悼記事、葬儀所や病院による証明書の提出を求めてはいけない。これは不快かつ不要な要請であり、休暇を申請する人には不正な意図があることを前提としている。

 会社の忌引休暇制度を悪用するために、愛する人が死んだことにする人はごくわずかだろう。どうかこれを、従業員との間に不信感や対立を生じさせるきっかけにしないでほしい。愛する人を失って悲しんでいると言う従業員を信じて、必要な時間を与え、それ以上は干渉せずにいてほしい。