これら(1)と(2)の結論を総合すると、わかることがある。トップにいる者が事実を隠したりごまかしたりすると、下にいる人々は十分に力を発揮できないのだ。

 私たちの不安を和らげるために、リーダーにうわべを取り繕ってもらう必要はない。無意味である。

 厳しく暗い現実を軽視したり、そのような現実が存在しないかのように見せかけたりするほうが、はるかに恐ろしく、人々の心理に悪影響を及ぼす。なぜなら、そうされると私たちはあらぬことを想像してしまうからだ。心の中でどんな悪魔を生み出すか、わかったものではない。

 リーダーは現実を軽視せず、ありのままを率直に伝えるべきだ。人々の恐れや不安を和らげようとして、平常への復帰を急かしてはならない。それよりも、実際に何が脅威なのかを詳しく説明すべきだ。

 私たちが生活の中で実際に何を変えざるをえないのかを、丁寧に示してほしい。それらの変更が私たちをどのように守るのか、事実を教えてほしい。何が、なぜ「ニューノーマル(新常態)」なのかを実践で示してほしい。ニューノーマルの中、いかにして幸せで健康な生活を送るかを考えるのは、私たち自身に任せてくれればよい。

 リーダーの多くは、人々を十分に信頼していない。心理学者ビクトール・フランクルは1930年代に教えてくれた。避けられない苦しみに立ち向かうことは、生きるうえでの意義、目的、自己効力感をもたらす最も重要な源泉の一つである、と。

 苦難と困難は、絶対に人々の目から隠されてはならない。正直に明白に示されれば、人は自分に対しても他者にも最大の強さを見せるだろう。

 サリーはALSの最も重い症状が現れるより先に、恐れが最大限に高まってしまった。ひたすら待つ、ということが恐怖だったのだ。ひとたび症状が発現すると――それは恐ろしく、困難に満ちていたが――少なくとも何らかの対処を講じることが可能になった。

 これから実際にどんな感覚を抱えていくことになるのかを、理解した。そして、どう生きるかという現実的な課題に取り掛かることができた。強く、優しく、レジリエンスを持って生きるために。

 これは、あなたにも私にも当てはまることを、今回の調査は示唆している。人を怯えさせるのは、未知である。脅威について真実を突きつけられれば、私たちが実際にどれほど多くの力を秘めているかが明らかになるはずだ。


HBR.org原文:What Really Makes Us Resilient? September 29, 2020.


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