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難病や親しい人の死、あるいは新型コロナウイルスのパンデミックのように、自分ではコントロールできない脅威に直面した時、絶望せずに困難と立ち向かえる人は何が違うのか。どうすればレジリエンス(再起力)を高めることができるのだろうか。筆者らの調査を通じて、乗り越えるべき脅威が現実的であるほど、レジリエンスが高まることが示された。リーダーは厳しい現実を軽視したり隠したりするのではなく、チームに率直に伝えるべきである。


 私の友人サリーは11年前、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断された。ルー・ゲーリック病という名でも知られるこの病気は、運動神経系が退化していく疾患だ。徐々に動けなくなり、食べることも、話すことも、最終的には呼吸すらできなくなる。

 彼女は40歳になったばかりで、2人の子どもがおり、素敵な男性との幸せな結婚生活に恵まれ、家族との日々に大きな期待を抱いていた。そこに、この恐ろしい苦難が降りかかった。

「とてもゆっくりとした自動車事故」と、彼女の夫は表現した。そのイメージが私の頭から離れない。残骸、破損、避けられない苦痛。誰もがどうすることもできず、ただ見ているほかない。

「私は消えていくのね」と、当時サリーは言った。「そのうち誰も私のことを気にしなくなったら、どうしよう?」

 現在、彼女はあらゆる困難を跳ね返し、生きている。

 たしかに、動くことや話すこと、食べることや呼吸も自力ではできないが、消えてなどいない。それどころか、目で操作する発話機器の助けを借りて、以前とまったく同じように活気と愛情と聡明さにあふれている。彼女がひと目で伝達できる意味の量は、たいていの人が20分の熱弁で伝えられる量よりも多い。

「どうして、そんなふうにできるの?」と私は尋ねた。「夫と子どもたちのために、どうしたらそこまで強くいられるの?」

「私にはできないことがたくさんあるのよ、マーカス」と彼女は答えた。「でも、そのことをわざわざ考えても意味がないでしょう。それよりも、数少ないできることに自分の時間のすべてを注ぐの。まだ夫を愛することはできる。まだ子どもたちを愛することができる。私は、まだ生きている」

 彼女には非常に強い存在感がある。そしてこんなご時世には、サリーのような人は私たちに、レジリエンス(再起力)について実に多くを教えてくれる。10年以上も屋内に留め置かれ、彼女に感染させるおそれのある人々と社会的距離を置き、起き上がって動き回ることができないにもかかわらず、活力と気力を保っているのだ。

 願わくは、誰もが、これほど大いなる強さと忍耐を発揮できればいいのにと思う。人生ですさまじい困難に直面してよろめいても、さらに強くなって再起できればいいのにと思う。

 サリーはなぜ、それができたのだろうか。単にくじけない遺伝子構造のおかげなのか、それとも意識的に何かをしたのか。このレジリエンスなるものの正体は何なのか。個々人が生きていく中で、それを身につけるにはどうすればよいのだろうか。