このように、文章作成、コーディング、サイエンスの領域にまたがって一般的推論を行う能力があることを考えると、このテクノロジーはジャンルを超えて、マネジメント、データサイエンス、物理学、生命科学など幅広い領域で活用できる可能性がある。

 加えて、GPT-3とクラウドを組み合わせることにより、デジタルイノベーションを非技術系の業務に広げていくうえでの障害を縮小できるだろう。このテクノロジーのおかげで、非技術系の人たちもプログラミング言語ではなく自然言語を使って、顧客向けのアプリとソリューションを構築することが可能になるのだ。

仕事のあり方が変わり、生産性が高まる

 このような変化が訪れることを前提にすれば、企業は自社のIT関連の資源を見直すだけでなく、人的資源についても再検討する必要がある。

 その出発点として、自社の社員が処理している業務を洗い出し、その中でAIによる増強が可能なものを明らかにして、技術系と非技術系の社員の両方がこれまでより迅速にイノベーションを実行できるようにすればよいだろう。

 筆者らは、職業情報ネットワーク(O*NET)を用い、米国政府による職種分類に従って、16分野にわたる73の職種について分析した。すると、すべての分野がGPT-3による影響を受けることがわかった。

 さらに掘り下げて検討すると、その職種を構成する業務のうち、少なくとも1つがGPT-3により増強もしくは補完される職は51に上った。複数の業務がGPT-3により補完される職種も30あった。

 このテクノロジーが実用化されれば、自動化できる業務も出てくるだろう。しかし、筆者らの分析によれば、人間の生産性と独創性を増強することにこそ、より大きな可能性がある。

 たとえば、企業のコミュニケーション担当者の場合であれば、これまで日常的に行ってきた文章作成業務の半分以上が自動化されるだろう。その一方で、広告コピーやソーシャルメディアへの投稿など、より重要性の高いコミュニケーションについては、GPT-3の力を借りることで、担当者の創造性をより高めることができる。

 また、企業のサイエンティストは、開発途中の新製品に関して、GPT-3を利用してグラフを自動生成することで、社内での説明の手間が省けるだろう。一方、GPT-3を利用して、科学論文から必要な内容を抽出させることにより、基礎研究と実験を支援することも可能になるかもしれない。

 このように、専門分野や業種の壁を越えてこのテクノロジーを応用する道は、社員の想像力次第でどこまでも広がっていくのだ。