●「もっと自信がほしい」という自己成就予言に注意する

 専門サービス会社でシニアアナリストを務めるジェニファーは、非常に働き者で、同僚から高く評価されている。彼女曰く、次のことが仕事上、最大の障壁になっているという。「私には自信が足りない。もっと自信を持つべきだと理解しているのですが、自分はそういう性格ではありません」

 自信を持つことが威厳には不可欠だと考える人が多い。そのため自信がないと感じる人にとっては、それが通常、大きな障壁になる。自信があるふりをするしかないと思っているからだ。それだけでなく、自信が足りないと口にしていると悪循環に陥る。そのネガティブな独り言で、ますます自信が失われていくのだ。

 ところが、筆者らが調査した中では、人から威厳があると思われていたプロフェッショナルは、必ずしも自信にあふれていたわけではない。むしろ、それとはほど遠かった。しかしながら、彼らはリスクや脅威を認識しつつも、勇気を出して、自分の目標を追求するための行動を選択していた。

 たとえば、フィンテック企業でリーダーを務めるサラは、人から自信があると思われていた。ところが彼女は、いつも緊張し、ペースの速い仕事環境に慣れないと筆者らに話してくれた。朝、何度も鏡を見て、「絶対にできる」と自分を鼓舞するのだという。

 彼女は自信があるふりをするのではなく、自分の弱さや、勇気が必要なことを認めていた。外から見ると、生まれつき自信があるから勇気ある行動がとれるだと誤解しがちだ。そうではなく、こうした勇気ある行動から自信が生まれるのだ。

 ●誠実さを貫く

 ある研究では、勇気に加えて誠実さも、経営幹部レベルの有効性を左右する最も強力な予測因子の一つであることを示唆している。さらに別の複数の研究は、誠実さが勇気を刺激することを示している。

 人は誠実さを貫こうと決意すると、人と違う可能性がある自分の考えを率直に言葉にして、リスクを負って伝える力を得る。そうすることで、仕事でよい意味で目立つ機会が増し、かつ自分らしさを失わずにそれをやることができるのだ。

 最も優れた威厳とは、このオーセンティシティから生まれる。すなわち、自分が人にどのような影響を与えたいかを明確にし、一緒に働く人たちに共感して、彼らのことを知り、みずからの威厳を守ることで築いた深い信頼関係から生まれるのだ。威厳は、ありのままの自分でいながら身につけることができる。


HBR.org原文:Gravitas Is a Quality You Can Develop, September 24, 2020.


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