価値観を肯定する

 筆者が話を聞いてきた多くのマネジャーやリーダーは、自身の葛藤だけでなく、安心感や自尊心を傷つけられた同僚や従業員のことが心配でならない。こうした脅威に立ち向かう方法の一つは、どのような状況にあっても、自分を定義する価値観に焦点を当てることだ。

 心理学者のジョージ・ボナーノらが、9.11に直接影響を受けた人を調査したところ、明確な目的意識自律性を持っていると答えた人のほうが、テロ攻撃後の18カ月間、レジリエンスを持続していた傾向が高かった。

 価値観を肯定するための簡単な方法を使えば、チームの士気を高め、共通の目的意識の回復を助けてくれる。チームメンバーに、自分たちの最も重要な指針となる原則(たとえば、人を助けること、創造性を発揮すること)をいくつか挙げてもらい、それらの価値観がなぜ重要なのか、その理由を書き出させるだけでよい。

 価値観を肯定するこのような方法は、逆境に直面した時のレジリエンスや成長力を養うなど、長期的に力強い結果につながる

 リーダーにとっては自分の組織の価値観を肯定する機会になるため、その機会として活用すべきだ。重要なのは、具体的な行動だ。会社の壁に貼られた価値観と現場の実情が乖離している場合、口先だけでは幻滅を招き、冷笑されて終わる。

 チームのウェルビーイングを重視したいならば、従業員のメンタルヘルスに時間と資源を投じる。人種正義の問題に取り組みたいと思うならば、バイアスに関する研修だけでなく、会社の方針や制度を再考し、たとえば最高経営幹部の多様化を実践する。

 言葉と行動を一致させることによって、チームメンバーは自分たちが何をしているのかだけでなく、なぜそれをしているのかに意識を向けることができる。