(2)なりたい自分になるために、自分に何を許容する必要があるか

 多くの女性は、何らかの形で「自分らしさの罠( authenticity trap)」にはまっている。自分を厳格に定義しすぎて、異なるアイデンティティ(たとえば「リーダー」)やスキル(たとえば「ネットワーキング」)に関与したり、育てたりすることを自分に許さない。

 たとえばイザベルは、誰かに助けを求めることを自分に許容した経験がない。それは独立、自立、強さという、自分のコア・バリューに反すると感じていたためだ。一方、フローレンスはスポットライトを浴びることを求めず、地道に仕事をやり遂げる人間であることに誇りを感じていた。

 このように自分のポテンシャルを制限する思い込みと、それが仕事でいらぬ問題を引き起こしてきた事実を明らかにすることにより、イザベルもフローレンスも自分のアイデンティティを拡張し、みずからのスキルを拡充することができた。

 イザベルは、人に助けを求めることは独立心が欠けている証拠ではなく、優れたリーダーシップの重要な要素だと認めることから始めた。新たな仕事を自分だけで探そうとせず、上司に相談したところ、手厚いサポートをしてくれる人物であることわかり、イザベルを新しい組織の採用マネジャーに紹介してくれた。

 フローレンスも、自分の能力をアピールすることへの否定的な見方を改めたところ、社内で存在感を高めるという目標と、謙虚さという自分の価値観の両方に一致するアピール方法を見つけた。注目を浴びることに対する否定的な態度を捨てたことで、自分のチームの仕事をシニアマネジャー向け会議で発表し、幹部クラスのワーキンググループに加わり、国際会議で自分の研究を発表する機会を得ることができた。

(3)自分をサポートしてくれるネットワークをどうすればつくれるか

 イザベルもフローレンスも当初、自分の希望をかなえるために、自分のネットワークを利用しようとしなかった。そこで筆者は2人に、人間関係を洗い出してみるように促した。その方法は簡単だ。ワードかエクセルを開いて(あるいは紙とペンを持って)、以下のカテゴリーにできるだけ多くの人の名前を書き入れてみよう。

1. キャリア・チャンピオン:あなたを絶賛してくれる人は誰か。
2. フィードバックの源泉:あなたの仕事ぶりに正直なフィードバックをくれて、厳しい質問で成長されてくれるのは誰か。
3. 情緒的なサポートシステム:あなたを励ましてくれるのは誰か
4. 組織の賢人:あなたの組織の裏と表を理解する支援をしてくれるのは誰か。
5. メンター:仕事上および個人的な決定を下す時に助言してくれるのは誰か。
6. コネクター:大きく多様なネットワークを持っていて、あなたをそこに紹介してくれるのは誰か。
7. パワー・ピープル:物事を実現する権限を持つのは誰か。

 フローレンスは、この洗い出しを行った結果、新しい機会を見つける支援をしてくれ、重要な意思決定者を紹介してくれる同僚に連絡した。また、イザベルもこのプロセスを踏んだ結果、彼女がすでに持つネットワークを利用して、組織内外の重要人物とのつながりをつくり、最終的に新しいポジションを得ることができた。

 このプロセスは、女性が有用な知り合いを発見する助けになるだけでなく、自分自身が組織の中で日常的に多くの人をサポートしていることに気づく助けにもなる。彼女たちはそれにより、ネットワーキングを純然たる取引関係ではなく、互恵的な共有活動ととらえ直し、より快適かつ自信を持って取り組めるようになった。