(5)共通人脈を重視し、グループでの人脈づくりを組織化する

 黒人の企業幹部らへの追加インタビューと、彼らのケーススタディを通じて、さらなる発見があった。人脈づくりに努める傾向が最も高い人は、その行為に対する認識を「自分中心」から「他者中心」へと変えることができる。人脈づくりについて話す彼らの口調が熱を帯びたのは、自身が「持っている人脈」ではなく「属している人脈」について語るときであった。

「私の」人脈について話すことは、不快感を伴うかもしれない。関係性の強さよりも自分の成功を優先し、人脈を手段としか見なさない黒幕的な人間であるかのような印象を与えかねない。

 対照的に、共通の人脈――つまり「私たち」でくくられるつながり(同窓会、地域コミュニティのグループ、職能団体など)を築く行為は、次のような形で表れる。多忙なスケジュールの中で、見知らぬ人からの電話への対応に時間を割くことをいとわない。知人からの情報収集の質問に、喜んで答える。他者が仕事や私生活で成功しやすい状況に立てるよう、すすんで後押しをする――。

 非白人のある人物は、こう述べた。「つながりを築くのは自分のためというより、人間の魂に不可欠だからだ」

 黒人同窓会は共通人脈の好例だ。地域ごとに定期的に集い、組織的に奉仕活動や寄付金集めのイベントを運営する。同時に、社会の主流から取り残されやすい人々を、能力開発の場に送り込む人脈経路としても機能する。

 共通人脈が持つこうした独特の形態は、文化的親密性をはぐくむ豊かな環境も生む。会社や都市で人口的に少数派の就労者とその家族らは、共通人脈を通じて連帯意識を醸成しやすい。

 その例として、ある黒人の企業幹部はこう述べる。「あなたはこの問題にどう対処するつもりなのか、誰もが似たような問題を解決しようとしている、といった内容の話を、我々は互いに言葉を省略して話すことができる。それでも感動的なほど通じ合える」

(6)リモートで従業員リソースグループに参加する

 従業員リソースグループ(employee resource group)は最近では、インクルージョンを促進していないという理由で、その価値が疑問視されている。しかし、筆者らの調査結果を見ると、従業員リソースグループは人間関係を築き維持するための重要な手段をもたらす。

 関係の構築と維持は非白人にとって特に難しい課題であり、従業員と組織に寄与する形での体系的な支援が求められる。コミュニティを築き、ビジネスリーダーシップを強化するという従業員リソースグループの戦略的目標を支える取り組みに、今日の企業はこれまで以上に投資すべきである。

 本稿で取り上げた交流活動を通じて、迷いと混乱の時期を持ちこたえるために必要な支えが得られる。しかしながら、連絡の労は非白人だけが負担すべきものではない。

 物理的に居合わせないことで、ある問題がいっそう深刻化しやすくなる。彼らの多くは、組織内や分野内で自分と同類の人が非常に少ないことで、「目に入らない存在」になるという困難を経験する。つまり、他と異なるという立場ゆえに、重要な意思決定への参加が往々にして難しく、その「異質性」によって存在が見えにくくなるのだ。

 バーチャル環境への移行によって、つながりの断裂が容易に――場合によっては気づかぬうちに――生じやすくなるため、この問題は悪化しかねない。

 だからこそ非白人にとって、上司・同僚との定期的な連絡とコミュニケーションをしっかり行うことが極めて重要だ。そしてマネジャーや業界リーダーも、非白人の同僚との連絡・関係を積極的に維持しなければならない。

 いわゆる「平常時」でも存在を見過ごされがちな非白人のプロフェッショナルにとって、職場の内外でつながりを保ち、はぐくむことは不可欠だ。本稿で概説した方策は、この時期にはひときわ重要である。そして、自分のキャリアをもっと積極的に管理しようと考えるすべての人が取るべき行動でもあるのだ。


HBR.org原文:Remote Networking as a Person of Color, September 07, 2020.


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