組織

 ●パンデミックは、組織文化がカギを握ることを示す明白な警告である

 リモートワークでは特に、企業の方針を遂行して従業員に責任を持たせることが難しい。これは、逸脱した従業員や、やる気のない従業員を扱う時に問題になりうる。

 モチベーションが高いワーカホリックは、自律性を与えられすぎると、同僚のパフォーマンスを観察しにくくなって、燃え尽き症候群に陥るリスクがある。社会的な比較がないと、想像するしかない基準を満たそうと、信じられないほど長時間、ストレスの多い働き方をするかもしれない。より高い自律性は、諸刃の剣になりかねないのだ。

 こうした複雑な状況は、力強い組織文化に投資することの重要性を語っている。在宅勤務や時間外勤務について、明確で良識的な規範があり、それが機能すると予想できることは、こうした懸念を軽減するだろう。

 さらに、組織の価値観を体現している従業員を認めて報いることは、士気を高め、組織内の他の従業員に見習おうと思わせる。これは、リモートワークでは特に重要になる。組織文化は「見えざる手」のように機能して、誰も見ていない時も特定の振る舞いを引き出すからだ。

 適応性をコア・バリューとして、さらには競争優位の源泉として促進する(そして実際に体現している)企業文化もあるが、いまのような時期にこそ繁栄をもたらす文化もあるだろう。ただし、パンデミックに直面しているからといって、自社の文化を吟味しなくてよい、従業員の振る舞いと士気に──意図的であろうと、意図的でなかろうと──与える影響を検討しなくてよい、という意味ではけっしてない。

 ●回復を促進するだけでなく、さらに仕事の将来の設計を考える

 コロナ禍は、従来のオフィス業務の非効率性を明らかにし、すでに進行していた流れを加速させた。

 たとえば、8時から17時まで、厳密な監視下でオフィスワークを要求する理論的根拠は、急速に正当性を失いつつある。より柔軟で自律的な働き方が、従業員の自主性をより促し、組織の変化仕事の創造性パフォーマンスの促進につながることを示す証拠は増え続けているのだ。

 いまここで、立ち止まって考えよう。「この組織にとって、理想的な仕事の世界とはどのようなものか。その未来を創造するためにどうすればよいか」

 このとき、「オフィスは本当に必要なのか」と問う人もいる。そしてツイッターのジャック・ドーシーCEOは、必要ないと思っている。同社は最近、多くの従業員が在宅勤務を恒久的に続けることができると発表した

 全体として、コロナ禍は時代遅れのビジネス慣行の多くを覆し、企業が今後は目を瞑ることができない非効率性を明らかにした。これらの教訓をより早く消化した組織は、将来の競争優位性がさらに高まる。

 未来の希望が見えないかもしれないが、パンデミックはいずれ終わるだろう。この混沌の中で、組織は、職場を再構築する数十年に一度の機会を得ている。従業員の自律性を理解し管理することは、間違いなく、パンデミック後に出現する新しい仕事の世界でも重要であり続ける。


HBR原文:Restore Your Sense of Control - Despite the Pandemic, September 10, 2020.