筆者らは『ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー』に先日発表した論文で、心理的な回復の経験を調べるために、パンデミックが始まってすぐの2週間に、41のコミュニティカレッジからフルタイムの従業員のサンプルを集めた(世界保健機関〈WHO〉が「世界的なパンデミック」を、米国政府が「国家の非常事態」をそれぞれ宣言した翌週の2020年3月16日月曜日から2週間)。

 調査は勤務日に10日間連続、1日3回行い、「いま」どのように感じているかという質問は毎回、含まれていた。同じ質問を連続10労働日の被雇用者を調査した。経験サンプリング法と呼ばれるこの手法により、従業員の感情や態度の変化を時系列で追跡することができた。

 特に注目したのは、自律性の脅威に関する2つの兆候、すなわち無力感と非本来性をどのように経験しているかだ。言い換えれば、新型コロナウイルス感染症の流行が深刻になるにつれて、どのくらいまで自分の行動を自分でコントロールできると感じ、本来の自分でいられたかを知りたかった。

 調査対象者は、最初は(パンデミック前に調査した似たようなサンプルと比べて)無力感が高まり、本来性が低くなったが、驚くほど迅速に回復した。具体的には、2週間の調査期間中に、ストレスレベルは高いままだったが(さらに高まった人もいた)、無力感は低くなり、本来性の感覚が高まっていた。

 すなわち、主観的にも客観的にも状況は改善されなかったにもかかわらず、比較的短期間で、自律性の感覚をかなり取り戻したのだ。これは、従業員が「ニューノーマル(新たな常態)」に適応し、多くの人の予想や、心理的回復に関する従来の研究が実証したよりもはるかに早く、自律性の感覚を取り戻し始めたことを示唆しており、注目に値する。

 興味深いことに、自律性の感覚を最も早く取り戻した従業員は、神経症傾向が強い人たちだった。神経症傾向は、神経質や不安を経験しやすいことを反映した性格特性で、一般的に悪いものと見なされている。あらゆる性格の中で「おそらく最も好まれない」特性だとも言われる。

 実際、筆者らの研究結果のいくつかは、神経症傾向に対する悲観的な見方と重なっている。パンデミックの初期段階では、神経症の従業員は特に、無力感と非本来性を感じていた。

 一方で、神経症の従業員にとってうれしい兆候もある。彼らは、最初は無力感が強く、本来性をあまり感じられずにいたが、時間とともに回復のペースが速くなった(つまり、神経症傾向が低い従業員より速いペースで、無力感が低くなり、本来性の感覚が高まった)。

 この健全な神経症傾向という考え方は、危険な環境における警戒と不安に関して、機能的な恩恵があるかもしれない。実際、パンデミックのように混沌とした安全ではない状況では、ある程度の神経的傾向があると、たとえば家にいることに抵抗を覚えず、ニューノーマルに適応しやすくなるだろう。

 筆者らの研究はコロナ禍の影響と反応を理解する入り口になったが、パンデミックが日常生活に及ぼす進行中の影響については、まだ多くのことを学ぶ必要がある。

 たとえば、神経症の人ほど心理的な回復が速いなら、結果として、神経症傾向が弱い人より高い自律性の感覚を得ることができるのだろうか。パンデミックが続き、一部の制約を乗り越えられないことがわかったときに、再び自律性の感覚が低くなるのだろうか。

 ここでは、従業員、マネジャー、組織が、それぞれどのようにして自律性の回復プロセスを加速させることができるか、いくつかヒントをまとめた。なかなか自分らしさを感じられない人や、私生活あるいは仕事(もしくは両方)を自分でコントロールできないと感じている人は特に、参考になるだろう。