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働く母親は、ワークライフバランスのジレンマに囚われがちだ。職場では、以前と同じように働けないことを申し訳なく感じる。家では、学校行事にも参加できず、週末も仕事の対応に追われる自分を母親失格だと思う。罪悪感との終わりなき戦いである。一歩間違えば、燃え尽き症候群に陥りかねない。長年にわたり、働く母親にカウンセリングを行ってきた筆者は、置かれている状況は変わらなくても、自分のマインドセットや行動を意識することで、こうした罪悪感から自身を解放できるという。


 働く母親は皆、同じように感じているのだろうか――。ワークライフバランスという、とらえどころのない概念を実現しようとしてストレスがたまった時、あなたはそう思うかもしれない。

 子どもがどんどん成長する一方で、自分が野心的なキャリアを築くのは「時間切れ」が近づいている気がする。家にいても職場にいても、「自分はいま、ここにいるべきではないのではないか」と感じてしまう。いつも「何をするにも、生産的にならなければ」と焦っている。頭の中では週末には遠出しようと思っても、結局は「やっぱり無理」だと自分に言い聞かせて、出かけるのをやめてしまう。

 著述家でジャーナリストのエイミー・ウェスターベルトは、著書Forget Having It All(未訳)で、働く母親のジレンマを次のように表現している。「女性は子どもがいないかのように働き、仕事をしていないかのように子育てをすることを期待される」。そのせいで、女性たちは罪悪感を抱く――働くことに罪悪感を覚え、働かないことに罪悪感を覚えるのだ。

 明確な境界線がないために、家族と過ごす時間にも仕事が忍び込んできて、子どもがその日の出来事を話してくれても上の空だったり、そもそも子どもと有意義な時間を持てなかったりする。そうなると自分は母親失格のような気がして、ますます落ち込むのだ。

 子どもの学校のボランティア活動に参加したり理科の発表会を見に行ったりできない罪悪感から、こっそり仕事を抜け出す方法を考える。子どもが顔を上げて見回した時、自分の姿を見つけられるようにしたいからだ。ただし、仕事で緊急の連絡が入っていないか、常にメールをチェックしながらである。

 まるで、終わりのない戦いだ。こうした状況に圧倒され、疲れ果て、敗北感を覚えることが続けば、いずれ燃え尽きてしまいかねない。

 働く母親は、自分が望む仕事もしくは必要とする仕事と、自分が思い描く理想の母親像との間でのバランスを取ろうともがいている。

 子どもやチームのメンバー、上司の期待を裏切って申し訳ない気持ちになるだけでなく、まともなセルフケアをしていないことを恥ずかしいと思い、高齢の親を十分助けていないと罪悪感を覚え、友人に自分のストレスをぶちまけて後悔する。まるで、自分にはそんなふうに感じる資格がないかのように。