職務経験を「仕事」だけに限定しない

 大学を卒業したばかりで職務経験がほとんどない? それなら、学生時代に取り組んだ主なプロジェクトや論文についても履歴書に書けばよい。

「グループ・プロジェクトの遂行や本格的な論文の執筆には、さまざまなスキルが必要とされる。その中には、企業が求職者に求めるスキルも含まれる。コミュニケーション、執筆、時間管理、取捨選択、プロジェクトマネジメント、チームワーク、リサーチのスキルは、その一部にすぎない」と、レイノルズは言う。

 この種の経験を履歴書のどこに記すべきかという判断は、難しいところだ。その経験が主としてアカデミックなものである場合は、職務経験とは別に「関連する経験」という欄を設ければよいと、専門家たちは助言する。

 リサーチパートナー、戦略責任者、プロジェクトマネジャーといった肩書を記して、経験をアピールしよう。また、時間的制約の下で課題に取り組んだ場合は、そのことも明記したほうがよい。厳しい締め切りの下で仕事をこなせることを印象づけるのが狙いだ。

 プロのアドバイス

 応募している職に関係のあるプロジェクトに絞り込んで記そう。

数字に語らせる

 次の2つの記述のうち、あなたはどちらに強い印象を受けるだろうか。

・「過去の役職では、チームを率いて、売上げを20%増やしました」

・「過去の役職では、標準時の異なる4つの地域に分かれている6人のグローバルなチームを率いて、売上げを年間500万ドルから600万ドルへ、20%増やしました」

 ほとんどの採用担当者は、2つ目のほうに強い印象を受けると言うだろう。2つ目のセンテンスは、求職者の業績を述べているだけでなく、データを引用することにより、成功度の度合いを語ってもいるからだ。

 数字に基づく情報を否定できる人はいない。「数字は、その人がどれくらい成功を収めてきたかを物語る」と、ディストリビュート・コンサルティングで経済開発・地域人材開発の責任者を務めるランス・ロビンズは言う。「数値指標は、過去の成功のストーリーを語るうえで欠かせないものだ」

 そこで、現在の役職、プロジェクト、インターンシップで数値評価可能な成果を挙げた時は、それを必ず記録しておこう。求人に応募したり、面接を受けたりすることになって、そうした情報が必要になった時のために、常に備えておくべきだ。

 プロのアドバイス

 就職に成功したあとも、記録を残す習慣は続けよう。

履歴書の送り状を特定の個人宛にする

 最後に、もう一つ大切なこと。履歴書を送付する時の送り状も重要だ。

 送り状では、読み手の関心をただちに引きつけたい。そのための手堅い方法の一つは、特定の相手に宛てて送るというものだ。

 手紙を受け取る側の身になって考えれば、すぐにわかるはずだ。企業の採用担当者から、「関係各位」だとか「親愛なる潜在的候補者殿」などという宛名の手紙が届いたとして、あなたは感激するだろうか。おそらく、そんなことはないだろう。

 では、誰宛てに送ればよいのか。それはたいてい、リンクトインのようなビジネス向けソーシャル・ネットワーキング・サービスで知ることができる。

 ロビンズは、まず就職活動の志望企業15~25社のリストをつくるよう勧める。そして、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを使って「それらの会社で、あなたが就きたい職と同様の職に就いている人に連絡を取ってみよう。ただし、現実世界でのネットワーキングと同様、オンライン上でのネットワーキングでも、あまり早い段階で自分を売り込みすぎるのは得策でない」と、ロビンズは言う。

「じっくり時間をかけて信頼を築き、助け合いの精神で関係を育んでいくべきだ。あなたがその会社に加われる状況にあり、現在の――あるいは将来の――求人で採用候補者として検討対象に上ることを歓迎していると伝えよう」

 たとえば、こんな感じでアプローチしてはどうだろう。

・「リンクトインのプロフィールを見て、あなたが貴社にX年間在籍していることを知りました。この会社の最も好きな点は何ですか。ほかの会社に移ろうと思わない理由を教えてください」

・「貴社の採用ページを見ると、Xが貴社の重んじる価値の一つだとのことです。あなたの役職の立場から見て、その点はどのように見えていますか。その価値観はどのように実践されていますか」

・「貴社であなたのような役職に就きたい場合、私が磨いておいたほうがよいスキルや行動パターンはありますか」

 送り状を実際に書く際は、読み手が何を重んじているかを意識すべきだ。会社のウェブサイトを見て、ミッション・ステートメントをよく読んでみよう。その会社についてしっかり研究して、最新の出来事やメディアでの言及もチェックしたほうがよい。

 会社がソーシャルメディアでどのようなことを発信しているかも見ておこう。関心分野の業界紙などにも目を通し、業界の重要な変化を見落とさないようにすることも大切だ。こうした作業はすべて、志望する会社のニーズ、価値観、関心事を理解する手立てになる。

 十分な下調べができたら、自分自身にこう問いかけよう。「こうしたことを踏まえたうえで、その役職で採用されたと仮定して、どのように会社に貢献できると思うか。どうすれば、ほかの人にはできない貢献ができるだろうか」。この問いの答えも送り状に記そう。

 プロのアドバイス

 志望する会社の人物と個人的につながりを持ち、誰が採用責任者かを割り出して、その人物に個人宛で応募書類を送ろう。こうしたことは、求職者が取れる最も有効な対策と言えるかもしれない。これを実践すれば、あなたの履歴書は、採用担当者の頭の中で、膨大な量の履歴書のかなり上のほうに置いてもらえるだろう。


HBR.org原文:How to Get Your Resume Noticed (And Out of the Trash Bin), September 07, 2020.


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