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音楽のコンテストやスポーツの競技では、パフォーマンスの順番が審査員の評価を左右する。営業や説得の場面でも、最初か最後かで有利になるかどうかが決まる。では、起業家のピッチコンテストでも、同様の影響はあるのだろうか。筆者らが実際にコンテストを開催して実験を行った結果、「最初の2つのピッチ」が一貫して低く評価されることが明らかになった。ここから学べることは何か。起業家、主催者、投資家それぞれへの助言を提示する。


 参加者が順番にパフォーマンスを行うさまざまなタイプの競技やコンテストでは、その順番が審査員の評価に大きな影響を与えることが研究でわかっている。たとえば、音楽スポーツの場合は「最後」の参加者が有利なのに対し、営業説得のための討議では「最初」のほうが有利であることが実証されている。

 しかし、スタートアップのピッチコンテストの場合には、参加者の順番はどのような影響があるだろうか。

 筆者らは、ピッチの順番が投資家の関心に影響を与えるのか、そしてどのように影響するのかを明らかにするためのフィールド実験として、ビジネススクールの学生起業家を対象に4つのピッチコンテストを行った。どのような結果になるかは、まったくわからなかった。

 音楽やスポーツでは、審査員はそれぞれのパフォーマンスに対し、前のパフォーマンスよりも優れている点に注目するため、後から出場する参加者のほうが、成績がよい傾向がある。そのため、このコンテストでも同様の影響が見られるのが妥当だと思われた。

 もしくは、相手を説得するための討議と似た結果になる可能性もあった。評価者は最初の主張を基準にすることが多く、それとは異なる意見は受け入れにくいため、「最初」の参加者が優位に立つ。あるいは、順番には何の影響もないという結果も考えられた。

 イベントでは、地元の投資家らが15~22のピッチを審査した。ピッチの順番は完全にランダムに決められたにもかかわらず、審査員は一貫して最初に登場した2つのピッチを、後のピッチよりも「低く」評価した。

 人種性別など、投資家の関心に影響を与えることがわかっているデモグラフィック特性を考慮した場合でも、同様の結果が得られた。また、参加者は自分のピッチの順番を待つ間、研修室に隔離されていたため、自分より前のピッチに対する審査員の反応を見ることで、不公平に有利になることはなかった。