リーダーはいかに忍耐力を高められるか

 忍耐力を鍛えるには、忍耐力が最も試される状況を知ることが必要だ。問題が起きそうだとわかれば、いつも以上に意識して冷静さを保つ努力ができる。時を刻む音から感じる重圧をコントロールするには、時間に対する認識をリフレーミングするとよいだろう。そのための方法を、以下に紹介する。

 ●スピードの意味を捉え直す

 米海軍特殊部隊SEALsは「何事もゆっくりやれば順調に進み、順調に進めば速く終わる」という言い回しで知られる。彼らのように迅速な対応を求められる特殊作戦部隊は、逆説的なようだが、緊急を要するミッションの計画および実行の両方で、順序を踏んで入念に事に当たる。

 60年にわたる危機的状況における活動から、ゆっくりと滞りなく仕事を進めれば、ミスややり直しが減り、結果的にミッションを早く遂行できることを学んできた。つまり彼らは、リーダーたるもの「オペレーションのスピード(速く動くこと)と戦略のスピード(価値提供までの所要時間を短縮すること)を混同してはいけない」ことを学んだのだ。

 これはもちろん、そもそも価値提供とは何であるかを、リーダーが明確に定義する必要があることを意味している。

 ●感謝の気持ちが忍耐力につながる

 感謝の気持ちは、さまざまな態度や行動に大きな影響を与える。

 たとえば、感謝の気持ちを日記につけることは、他者に対して寛大になりストレスを軽減させる効果がある。忍耐力に対する波及効果があっても、不思議ではないだろう。実験心理学の研究によれば、感謝の気持ちが強い時ほど、将来得られる大きな報酬のために目先の小さな報酬を我慢する「満足遅延耐性(delaying gratification)」が高く、忍耐力が増すことがわかっている。

 危機の最中に、感謝の気持ちを持つことは難しいかもしれない。だが、練習することによって、たとえば感謝の日記をつける、あるいは誰かのおかげで仕事が進んだことを認識するだけでも、隠された感謝の機会を見つけられるようになる。

 そうすれば、何か我慢できないことが起きそうな時には、立ち止まって、順調に進んでいる物事を思い出し、危機から学んだことや学べることに考えをめぐらせられるようになるだろう。

 大事なことは、リーダーの行動は忍耐力を示すことによって有効性を高めるという点である。辛抱強く取り組めば、自分の部下の創造性、生産性、そして協働力が促進される。先を急いでも、残念ながら効果はあまりないようだ。


HBR.org原文:Becoming a More Patient Leader, September 02, 2020.


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