次に起きること

 そのようにして貿易戦争が起きれば、どのような時期であっても世界経済の安定と発展に害が及ぶ。ましてや、世界がコロナ禍による空前の景気後退からの脱却を目指している時、その弊害はひときわ大きい。

 世界経済はすでに、米中冷戦と、コロナ禍に伴う貿易とサプライチェーンの分断という悪材料に直面している。そのうえ、対決的な姿勢は世界でテクノロジーの進歩を阻害する。

 各国政府は、根拠のない不安を煽ったり、デジタルサービスの拡大を止めたり、規制を設けたりするかもしれない。こうした行動は景気回復の足を引っ張り、巨大デジタル企業が売上げを伸ばしたり、市場を成長させたりするのを妨げる可能性もある。

 明らかに、いまこそ冷静な対応が必要とされている。米国政府は、OECDの国際ルールづくりの対話に復帰し、重要な役割を果たすべきだ。傍観者の立場を決め込んでじゃまだけすることは、もうやめたほうがよい。

 ほかの国々の政府も辛抱強く行動し、少なくとも2020年末までは新しい税金の徴収を延期すべきだ。2020年末までには国際ルールをまとめると、OECDは約束している

 また、巨大デジタル企業は、世界の経済的幸福に貢献することに、もっと前向きになるべきだ。そうすることは、これらの企業が成長し、利益を上げるうえで避けて通れない。

 デジタル企業の株主は、コロナ禍の下での株価上昇により途方もない利益を上げたのだから、それくらいの貢献をしてもよいはずだ。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは最近、欧州の税制改革を支持する姿勢を示し、自社が「もっと税金を納めるべきなのかもしれない」と認めた。

 それぞれがこれまでよりも協働的な姿勢で臨めば、すべての当事者にとって好ましい問題解決策が生まれるだろう。


HBR.org原文:Tech Giants, Taxes, and a Looming Global Trade War, August 24, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
スーパースター企業は世界経済を置き去りに成長している
いかにGAFAの奴隷とならないようにするか
GAFAは未来への「ビジョン」を持っているか