●内面化された期待から、自分を解放する

 職場での昇進など、実際の競争で仲間に後れたと感じることも問題だが、永続的な自信喪失につながるもっと有害なマインドセットがある。それは、仲間より活躍しないといけないだけでなく、仲間が達成しようとしていることをすべてほしがることだ。

 この「べきの専制 (the tyranny of the should)」と呼ばれる心理状態は、すでに手に入れたものではけっして満足できない、終わりなき競争を生み出す。何を成功とするかに関する内的期待が、他人の欲求に応じて変化し続けるからだ。

 CEOより1つ下位の役職に就いている私のクライアントの多くは、この心理状態にある。心の奥底ではトップとしてのプレッシャーを望んでいないが、仲間がその座を目指しているという理由で、自分も目指すべきだと信じ続けている。

 このマインドセットが生み出すのは、勝ち目のないシナリオだ。 CEOを目指したりCEOの肩書を手に入れたりしないと、その立場にいる他者よりも自分は劣っていると感じる。ところが、いざCEOの座が手に入ると、本当に望んでいた仕事ではないため、罠にはまったように感じるのだ。 

 これまであなたが選んでやってきたことはすべて、「自分はこうすべきだった」と思っていることに関係なく、常に正しい道だったかもしれない。そうは考えられないだろうか。マインドフルネスでいわれるように、「あなたがどこへ行こうと、あなたはそこにいる」のだ。

 後ろを振り返ることで、不安な気持ちを過度に複雑にしないでほしい。そして、自分の価値観と自分に成長機会を与えるかどうかを基準に、今後の判断を評価することを肝に銘じよう。他人が望んでいることや持っているものを基準に自分の進む道を変えていては、常に後れを取り、仲間に振り回されることになる。

***

 仕事や人生における努力はいずれも、他者との比較や自信喪失と無縁ではいられない。だが、自分が人に後れを取っていると感じた時は、それが事実かどうかに関係なく、本稿で紹介した方法を使って自信を取り戻し、自分にとって本当に大事な競争でよい結果を出そう。


HBR.org原文:Feel Like You're Falling Behind Your Peers? August 25, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
他人のキャリアを羨む気持ちを成功の原動力に変える
キャリアの挫折からどうすれば立ち直れるか
不安を適切にコントロールする5つのヒント
あなたが目指す理想のキャリアは、本当にあなた自身が欲したものか