●自分の強みを示して、自己肯定と前進する力を取り戻す

 急に自信喪失に襲われたとき、どうすればほかの人に追いつけるだろうと考え込むこともあるだろう。そうした場合には、小さな行動を起こして小さな進捗を実感し、自己効力感を取り戻す。自分の強みを倍にして世界に示し、自己肯定を利用してレジリエンス(再起力)を高めるのだ。

 私がエグゼクティブコーチを務めるあるクライアントは、パンデミックの影響で今年予定されていたシニア・バイス・プレジデントへの昇進が延期されたことに、意気消沈していた。会社で誰もがうらやむ役職に就くチャンスが、徐々になくなることを心配した。そして、危機より前にそのハードルを越えていた他社の友人をうらやましく思った。

 今年のパフォーマンスに悪影響を与えかねない、不快でネガティブな状態を断ち切るために、彼はかつて頼りにしていた強みの一つ、自分の文才を利用することにした。そして、目下の危機を乗り切ることに関する洞察をまとめて、会社のブログに寄稿した。

 すると、会社のブログで過去最高の閲覧数を獲得した。何人もの先輩や後輩から、率直で前向きな導きに対して感謝された。このフィードバックのおかげで、彼は自分の価値に自信を持てるようになったうえ、昇進に必要なリーダーとしての信頼感を高めることができた。

 ●「仲間」を再定義して、新たなフィールドを開拓する

 いつも同じ仲間とばかり自分を比較していると、ゼロサムゲームのように、必ず自分が先を行っているか遅れているかのどちらかになってしまう。新しい多様なピアグループを視野に入れると、自分の成功を0か1かで評価することが減り、多元的な見方ができるようになる。

 フォーチュン100企業のディレクターであるジャッキーは3年間、バイス・プレジデントへの昇進を見送られていた。いまの立場に行き詰まりを感じ、絶望感を深めていた彼女は、ジョブ・クラフティングによって仕事に対するアプローチを広げ、同僚との接し方を変えてやりがいを見つけようとした。だが、いつまで経ってもバイス・プレジデントの職には就けないという思いから、充実感を得ることができなかった。

 いつもバイス・プレジデントという小さなピアグループしか視野に入っていなかったことに気づいたジャッキーは、起業に関して自分と同じ価値観を持つ社外の人々とつながり始めた。毎月ピッチイベントに参加して、地元のスタートアップによるプレゼンを聞いたり、助言を与えたりしているうちに、彼女はやる気を取り戻した。

 すでに自分の会社を立ち上げている新しい仲間たちには後れを取っていたが、彼らから学べることが楽しかった。そしてそうすることで、社内で他人と自分を比較することによる苦悩が和らいだだけでなく、みずからのキャリア目標を見直すエネルギーとモチベーションを得ることができた。