威嚇する上司の影響は拡大する

 有害なリーダーシップの影響は、部下だけに留まらない。上司自身も、予期せぬ心理的代償を支払うことになる。

 上司が自分の威嚇的なリーダーシップにどのように対応するかを検証した筆者らの2つの研究から、部下を怒鳴ったり屈辱を与えたりしたあとに、彼らが罪悪感や道徳的な劣等感を経験していることが多いとわかった。

 彼らは自分の否定的な感情を和らげるために、不当な扱いを受けた部下の要求に注意を払い、必要なリソースやサポート、仕事の助言を与えることによって、償いをしようとするだろう。

 ただし、その場しのぎの関係修復は、上司の道徳的な感覚を立ち直らせることはできるかもしれないが、重要な仕事から時間とエネルギーを奪い、結果として上司自身の仕事の効率が低下した。

 つまり、素晴らしいカリスマ性のあるリーダーでも、権力の誇示や威嚇は、影響力を持ち続けるための戦略にならないのだ。そして、企業はリーダーを解雇せざるを得ない状況もあるだろうが、多くの場合、誠実で、発展的で、士気を高めるようなリーダーシップを促すことによって、威嚇的な振る舞いを変えるプログラムを提供できるだろう。

 こうしたナッジングのプログラムは、「優秀」で威嚇的なリーダーを厳しく処罰するためではなく、組織内のさまざまな階層のメンバーが集団的に取り組み、上司と部下の間に建設的な相互作用の力学を発展させるというアプローチに基づいて構築される。


HBR.org原文:Intimidating Bosses Can Change - They Just Need a Nudge, August 31, 2020.


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