●状況に応じたリーダーシップ研修プログラム

 多くの企業では、リーダーシップ研修の取り組みが機能していない。実際、マネジャーと経営陣に、期待していた変化が起きることはめったにない。その主な理由は、現場から離れた一度きりの研修の経験を、実際の仕事に活かそうとしてうまくいかないからだ。

 それに対して、持続的な学習と応用の機会を重視して、リーダーがそれぞれのマネジメントの状況に合わせて学べるプログラムは効果があり、権力の誇示や威圧的な言動を慎むように促すうえで役に立つ。

 簡単だが実践的なアプローチの一つは、リーダーシップについて内省して、他人の経験に介入するエクササイズだ。筆者のリーダーシップ開発研修でもよく使っている。

 筆者の研修を受講するマネジャーは、部下に権力を誇示した場面を思い出して、自分が何をしたのか、それはどうしてか、どのように感じたかを書く。そして、自身の振る舞いが、自分と標的になった部下の双方にもたらしたすべての結果(機能したものも、逆効果だったものも)を書く。そのうえで、似たような状況を再び経験したときに、より好ましい対応の代案を3つ考える。

 続いて、マネジャーを2人1組にして、互いの経験と代案を共有する。話を聞く側は、相手が説明した代案についてフィードバックや提案をしたり、より効果が高くてモチベーションを高めたりするような新しい代案を提供する。

 リーダーシップを内省するエクササイズの有用性は、ある擬似実験で明らかになっている。MBAの研修プログラムの一環として、173人の社会人が9カ月間で4回、リーダーシップ開発のシミュレーションに参加。1回ごとに全員が、研究者と1対1で約40分間、面談した。

 面談では、実験条件の参加者に対し、シミュレーションの中で自分がリーダーとして効果的だと感じた場面や不適切な行動について、体系的に説明するように導いた。さらに、彼らは次のシミュレーションで改善するための具体的な行動を計画した。

 対照条件の参加者は、シミュレーションで自分が基本的に何をしたか、思いつくままに話をした。その結果、4回のシミュレーションを終えた段階で、前者のグループの参加者のほうが、効果がなかった振る舞いをよりうまく修正することができ、リーダーシップのスキルのレベルも向上した。

 内省に基づく同様の研修プログラムは、マネジャーが部下に対する不適切な振る舞いを正してリーダーシップを発揮できるよう促すきっかけとして、大いに役立つだろう。