建設的な行動を促すリーダーシップ開発

 ●プロセス指向のリーダーシップ評価プログラム

 企業は、権力を誇示して威圧的になるリーダーを、適切なタイミングで特定できない場合が多い。

 その大きな理由は、リーダーのパフォーマンスを財務的な指標主観的な認識に基づいて評価し、彼らがそれらの数字を達成するプロセスを無視しているからだ。多くの有害なマネジャーは、パフォーマンスや管理能力について、驚異的な実績を上げることが少なくない。

 この問題に対処するために、プロセス指向のリーダーシップ評価プログラムでは、マネジャーが優れた集団的なパフォーマンスを達成するために取った、すべての具体的な仕事関連および対人的な行動に注目する。

 このアプローチは、数字の錯覚を払拭し、必要とされるリーダーシップの介入を明確にするうえで、大いに役立つだろう。その好例の一つがアロー・エレクトロニクスのCEOの評価とフィードバックのプログラムで、当時のCEOが2008年にHBRの論文で紹介している。

 まず、複数の独立取締役が3人の経営幹部と個別に面談して、CEOが経営チームをどのように率いてモチベーションを高めているか、会社のミッションと価値観を支える文化の創造に貢献しているかどうかなど、リーダーシップのプロセスに関連する問題を話し合う。

 続いて、独立取締役は取締役会でCEOとともに、面談の結果を比較検討して問題点を共有する。ただし、問題を指摘するだけでなく、独立取締役の考えを伝え、改善のための提案もする。

 アロー・エレクトロニクスが導入したアプローチは、リーダーシップの不適切な振る舞いを防いで建設的な振る舞いを促すために、継続的な行動とプロセスに焦点を当てた評価とフィードバックを重視するという、リーダーシップ開発論の核となる考え方と共鳴している。

 この評価プログラムから得られたフィードバックは、より強力な経営チームを育成してよりよい結果を得るために、リーダーシップをどのように修正していくかについて、CEOに適切かつタイムリーな指針を提供する。そして、微妙だが影響力の大きいリーダーシップの問題が、経営危機に発展することを食い止める手助けとなる。

 このアプローチが大きな違いをもたらすことは、研究が裏づけている。

 60人の上級および中級マネジャーを対象とするD. スコット・デルーとネッド・ウェルマンの研究によれば、リーダーシップのプロセスに関する同僚からの具体的かつ頻繁なフィードバックは、仕事で大きな問題を抱えるマネジャーが自分の非効率的なリーダーシップに気づきやすくする。

 そのようなフィードバックは、部下のパフォーマンスや人間関係の問題に対処する方法を、継続的に、より適切に調整することも促し、そのすべてが優れたチーム運営につながる。