爆弾を仕込む

 テクノロジーや空間デザインを活用して、さまざまなグループの人たちと結びつくことで、潜在的チャンスという器をつくり出すこともできる。起業家でコロンビア大学の非常勤助教授であるマタン・グリフェルは、これを「セレンディピティの爆弾」と呼ぶ。

 あなたが尊敬する人々に飛び込みのメールを送るのも1つの手だ。私はこれを実行しているエグゼクティブを知っているし、驚くことに、こうした飛び込みのメールを受け取った人が、予想外の共通の関心や関わるべき理由を見出して、返信してくれることも少なくない。

 たとえば、飛び込みのメールで言及したその分野で、ちょうどビジネスを拡張したいと思っていたエグゼクティブがいるかもしれない。メールアドレスが見つからないときは、ツイッターへの投稿や、リンクトインのインメール(InMail)機能(知り合いではないメンバーにメッセージを送れる)の利用も考えられる。

 さまざまな職業の中で、つながりをつくる出発点としておすすめなのが、学者だ。連絡先はたいてい大学のホームページに掲載されているし、業界の重要な人たちと知り合いで、比較的、気軽に紹介してくれる。

 少しキーボードを叩けば背景情報を手に入れることはできるが、その人のすべてを知ることはできない。そこで、この種の爆弾を仕込むことにより、新しいチャンスをつくり出すのだ。

 これは、あなたのネットワークを拡大し、セレンディピティの条件を整える低リスクの戦略だ。すぐに何かが起こらなかったとしても、あなたの存在は相手に認識されたことになる(相手がメールを読んでくれればの話だが)。

 組織内にも、セレンディピティの爆弾は仕込める。古典的な方法としては、別の部署や職能の人をコーヒーやビデオ会議に招くとよい。リーダーは、メンバーを無作為にペアにすれば、思いがけない会話が生まれる状況をつくることができるし、昨今では、ロックダウンによる断絶を乗り越える手立てにもなる。

 筆者らの研究では、企業インキュベーターがこの手の方法を無数に開発していることがわかった。たとえば、事後分析(うまくいかなかったアイデアの共有を奨励する。別の状況なら「偶然にも」うまくいくかもしれない)や、柔軟な空間デザインを利用して(多様な職員の郵便受けを隣り合わせに配置して「鉢合わせ」が起きるようにするなど)、とりわけ不確実な状況でのセレンディピティを高める手段としている。

セレンディピティによる成功

 ほとんどのトップエグゼクティブは、現在の地位に至ったのは、自分の知力や勤勉な努力だけではなく、運もあったと認めている。私たちは皆、もっと上手に予想外のチャンスをつくり出し、他の人々とつながり、互いに助け合うことができる。

 セレンディピティの心構えがあれば、すべてのコミュニケーションから新しい道が開ける。恋を見つけ、投資してくれる人に出会い、友達をつくり、新しい興味を開拓し、新たな仕事に就けるだろう。


HBR.org原文:How to Create Your Own Career Luck, August 24, 2020.


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