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コロナ禍でリモートワーク導入が加速する中、一部の企業には永続化の動きも見られる。地理的条件に左右されず優秀な人材を確保できたり、移動時間の大幅な節約につながったり、そのメリットは大きい。だが、移行には入念な準備が欠かせない。費用対効果のみならず、必要なタスクやコンピテンシーを洗い出し、リモートワークを前提として業務を最適化するプロセスが必要だ。さらにチーム間の相互依存性といった課題にどう対処すべきか、その道筋を示す。


 新型コロナウイルス感染症のパンデミックをきっかけに、リモートワーク導入が加速するにつれて、これまでオンサイトでなければできないと考えられていた仕事が、実際にはリモートでも可能であることに、大小問わずさまざまな企業が気づき始めている。

 一部の職種に関して、永続的にリモートワークを採用する動きも、ツイッターやフェイスブックをはじめとする多くの企業で見られる。誰にでも適用するというわけにはいかないが、少なくとも従業員の一部を、永続的にバーチャル勤務に移行する利点はいくつかある。

 第1に、通勤圏内にいるローカルの人材だけを採用することには、必然的に限界がある。

 米国人は平均して勤務先から26キロの場所に住み、約98%が80キロ圏内に住んでいる。完全リモートワークを実施している主要企業のCEOは、地理的に分散している優秀な人材へのアクセスを、重要な競争優位として挙げている。

 それと同時に、シリコンバレーで多くのテック企業が成功した背景には、ローカルの豊富な人材プールがあると考えられている。仮に企業が所在地に関係なく、シリコンバレーの優秀な開発者、デトロイトの技術に精緻した経営幹部、あるいはロンドンの財務の専門家を活用できるとしたら、どうだろうか。

 第2に、リモートワークが選択できることは、競争力のある人材を引き付け、維持することにつながる。

 筆者らは本稿に関する調査の一環として、企業がパンデミックにどのように対応しているかを理解する目的で、さまざまな業界のシニアエグゼクティブを対象にインタビューを実施した。ある経営幹部は、フィラデルフィアを拠点とするマーケティングリーダーとして採用を考えていた有能な人材がいたが、居住しているオハイオ州コロンバスから離れたくないという理由で断られたと嘆いていた。

 それは特殊なケースではない。最近の調査によると、在宅勤務ができるなら、給与が8%下がっても構わないという結果も出ている。

 第3に、リモートワークはかなりの時間を節約できる。

 2017年の米国国勢調査によると、パンデミックが発生する前は、米国人は通勤に毎日平均52分以上を費やしていた。交通渋滞の激しい世界の大都市圏では、その数字はさらに悪化し、最短でもニューヨーク市内の1時間12分、最長ではジャカルタが2時間に達した。

 これらの数字に基づけば、リモートワークに移行することで、従業員1人当たり年間28~50日近い労働日数に相当する時間を自由に使えるようになる。インタビューしたある営業担当者の言葉を引用すると、「1度の会議のために往復3時間かけて客先に出向く代わりに、リモートで5回会議を行えば、売上げへの影響も5倍になるだろう」。