●許容

 許容とは、いまの現実をありのままで受け止めて、どのような状況に対してもオープンに、そして同僚への深い思いやりを持って向き合うための知恵のことと言える。

 物事をありのままに受け止めるといっても、変えるべきものを変えるという責任をないがしろにしろと言うわけではない。そうではなくて、「ああだったらよかったのに」と考えたり、誰に責任があるのかと考えたりすることに時間を費やしすぎてはならない、ということだ(そうした反応は、物事がうまくいっていない時、危機の時にしばしば見られる)。

 まずは、現状を認めること。そうすれば、ないものねだりの発想に陥らず、皆で力を合わせて問題を解決しようという発想を持てる。

 許容を実践できているチームは、メンバーの職業上の経験だけでなく、プライベートな経験も受け入れる。

 そのようなチームでは、メンバーが自分自身について語ることを互いに後押しし合うのだ(ただし、無理強いをしてはならない。個人的志向や文化的志向の違いを尊重すべきだ)。チームの同僚がどのようなことを大切にしていて、現在どのような状況にあるのかがわかるにつれて、チーム内の思いやりの精神が高まる。

 たとえば、私たちが関わったチームの一つでは、あるメンバーがいつも批判的な態度を取っているように見えた。この人物にとっては、チームのパフォーマンス、会社、ほかのメンバーなど、あらゆるものことが不満足に思えたようだ。

 しかし、このチームがチーム内の力学について対話した際に、この問題を話し合うと、その人物が自分自身に対しても高い要求基準を課していて、そのせいで自分も苦しんでいることがわかった。そこで、チームはその人物がみずからに厳しい基準を課しすぎないよう促し、しかもその人物の批判的視点を尊重できるようになった。

 チームメンバーは誰でも(つまり、リーダー以外の人も)次の問いを考えてみよう。

・どうすれば、私たちは互いに対して、そして自分自身に対して思いやりを持てるのか。

・どうすれば、物の見方や状況がまちまちな同僚たちのことを気遣い、同僚たちの言葉に耳を傾けられるのか。

・どうすれば、組織文化や危機の現実など、システム全体に関わる力学をもっと受け入れられるようになるのか。