私はコーチとしての経験から、リーダーが軽蔑の発作を食い止めるためのいくつかのステップを発見した。それらは次の通りである。

・あなたがジョンのように並外れて強く、レジリエンスのあるリーダーなら、自分が例外的な存在だということを認識して、自分を基準に他人を判断しないこと。自分を強くした経験で、どのような準備をしたかを思い出そう。そして、あなたのように訓練を受けていない人ならば、どのような準備をすればいいかを考える。

「彼らの何が悪いのか」と責めるエネルギーを、彼らが強くなるための環境づくりに向けよう。失敗したからといって、すぐに判断してはいけない。あなたの知らないところで、何かほかのことが彼らに起きているかもしれない。

 さらに、遺伝子という宝くじの存在を忘れないこと。物事に動じない性質が生まれつき備わったものだとすれば、それはあなた自身の手柄ではない。

・相手が、この瞬間にどのような人に見えるかではなく、そもそもどのような人なのかを考える。自分が誰かを見下していることに気づいたら、その人について尊敬できる点を3つ挙げてみよう。彼らが、あなたや組織にとって重要なことを成し遂げたことはあるか。あなたやチームの誰かのために、わざわざ手を貸してくれたことはあるだろうか。

 何も思いつかないとしたら、あなたはストレスで頭がうまく働いていないのかもしれない。あるいは、自分自身に立ち返って考える必要があるだろう。彼らがチームの一員として目下の難題に本当に耐えられないとしたら、それでもチームに留まっているのはなぜか。あなたの意思で彼らを引きとめているとすれば、それは彼らのせいではない。

・共感とは、優しくなるために特別の努力をすることでもある。相手に歩み寄り、相手の視点から世界を見つめ、そして相手もあなたの視点で世界を見ることができるように手助けする。

 グウェンはこれを実践した。その後のコーチングセッションで、彼女が持っていた黒いモレスキンの手帳に、人の名前がずらりと書かれていた。リストの半分近くは、名前の横にチェックマークがついていた。

「キャロル、あなたのおかげです。前回のセッションで、私が人をもっと理解するためには、まず会話をするところから始めようと話しましたよね。だから私は、リストをつくって実践したんです。私の優しさキャンペーン。これが、驚くほど効果があるんです。彼らは、私が思っていたような人たちではありませんでした。聡明で、面白い人たち。いまは、ちゃんと理解できます」

・最後に、あなたは自分が望む影響力を育むために、次のように自分に問いかけてみよう。いま、私はどのような自分になりたいと思っているのか。私は、自分の価値観に従って生きているだろうか。まずは、今日から30回。そして、明日もまた30回。


HBR.org原文:Without Compassion, Resilient Leaders Will Fall Short, August 21, 2020.


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