その時、私はグウェンのことを思い出し、はっと気づいた。ジョンは元軍人で、グウェンのように勇猛果敢だ。「本物の実力」を持つ男の見本だ。ただし、それを持ち合わせていないのがどういうことか、想像できなかったのだ。

 私は彼に聞いた。「20代の頃、何が好きだったか覚えていますか」

 彼はけげんな顔で私を見た。

「退役した後は、趣味でヘリコプターを操縦していたでしょう? その時は離陸するたびに、死と向き合って恐怖を克服する必要はなかったでしょう?」

 彼は軽くうなずいた。

「何百回となく操縦席に固定されて、危険に対するレジリエンスを身につけたんですよね。恐怖に対する予防接種を受けたようなものです。何回も、何回も。それが好きだったんでしょう?」

「まあね」と、彼はうつむいて言った。「木の間をすり抜けるように飛ぶのが楽しかったよ」

 私にしてみれば、上空10メートルで轟音を立てるヘリコプターを、下から見上げるだけだ。しかも、楽しいだなんて!

「そこなんです」と、私は言った。「あなたは、鋼の精神を鍛えてきました。あなたみたいに、何事にも動じず、勇敢に行動できる人はごくわずかです。つまり、ここではあなたは普通ではないんです。ケビンが普通なんです。自分を基準にして、彼の行動を測ることはできません」

 頭の回転が速いジョンは、すぐに視点を変えることができた。

「その通り。何てことだ。そんなふうに考えたことはありませんでした。ケビンにあんな態度を取るべきではなかったんですね。昨日、彼に電話しなくてよかった。いいことは何もなかったでしょう」

「でも、いまなら?」

「もっと優しくできます」

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