ランダム・ローテーションを導入する方法

 人事部による導入も可能だが、調査会社に委託して、従業員の自己申告を集め、個人の回答が公開されないリストを人事部のために作成してもらうほうが簡単かもしれない。

 新型コロナ接触可能性のある人の身元を秘匿するために、従業員の中から最小限の人数を在宅に回すことは不可欠だ。手始めに、人員の5~10%をローテーションさせ、接触可能性を申告することに不安がないかを尋ね、回答に応じて割合を調整するのが妥当だろう。

 ランダム・ローテーションの重要な補完要素となるのは、職場勤務から外れることで生じうる金銭的損失を抑えるための有給病気休暇や在宅勤務制度である(ファミリーズ・ファースト法は中小企業を対象に、病気休暇制度への補助金を提供する)。これは、経済的に脆弱な従業員に対しては特に重要となる。

 従業員がこのシステムを悪用し、職場勤務から外れることを常に求めているのではないか――そう心配するマネジャーは、各人の欠勤を半年に2~3回に制限すればよい。

 最後に、ランダム・ローテーションがより効果を発揮するのは、従業員が自分の感染可能性を把握している場合だ。したがって組織は、従業員に接触確認プログラムへの参加を奨励すべきである。

ランダム・ローテーションは
どんな組織に適しているのか

 ランダム・ローテーションがあなたの組織に適しているか否かは、導入がどの程度容易か、そして健康へのメリットがどれほど大きいかによる。

 特に導入しやすいのは、フル稼働していない職場、または在宅勤務制度がある職場だ。これらの場合、健康な人を在宅にすることの機会費用は低い。なおランダム・ローテーション制度の導入は、公衆衛生に真剣に取り組むというメッセージにもなるため、従業員は職場再開に伴う不安に対処しやすくなるかもしれない。

 健康への潜在的メリットが大きいのは、従業員らが高い新型コロナ接触リスクにさらされている職場、または彼らが経済的に脆弱な場合である。

 食肉加工工場などが顕著な例であり、密な仕事環境と低い温度が感染を促進する。経済的に恵まれていない従業員は、失業率が高いことを承知しており、病気の可能性を明かせば職を失うのではないかと恐れているかもしれない。

 結局のところランダム・ローテーション制度は、個々の業務ユニットに合わせて最適化するのが妥当と思われる。経済的に脆弱な現場・前線の従業員については、ローテーションの最小割合を多めに設定し、感染可能性を安心して申告できるようにすべきかもしれない。

 この制度の活用に興味がある会社は、導入に関する情報をこちらで参照できる。


HBR.org原文:How to Get Employees to Report Their Covid-19 Risk, August 21, 2020.


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