●成功を再考する

 以前は最大の効率と効果を目指していたあなたも、いまでは日々をなんとか乗り切っただけで自分を褒め称えていい。

 たくさんのことを手放し、成功を定義し直す必要があるだろう。家庭での仕事に対して自分を褒めてあげれば、間違いなくあなたは前に進むことができる。そのために、「成功」とはオフィスの中でも外でも物事をこなすことである、と再定義しよう。

 ダウンタウンの高級レストランでステーキを食べながら大口のクライアントと契約を結ぶことが、かつての成功だったかもしれない。しかし、いまは朝食のようなメニューの夕飯を大急ぎでつくりながら(家中が散らかっているのは気にしない)、別の部屋でふざけあう子どもたちに向かっておかしな歌を大声で歌うことかもしれない。

 クライアントとの契約に1日か2日余分にかかるかもしれないが、あなたはその間、家庭で勝利を積み重ねているのだ。あなたは、自身の評価よりもはるかに素晴らしいことをしている。子育てにおける勝利を、褒め称えるべきものとして捉えよう。

 ●自分自身を再考する

 アイデンティティは人生の過程で何度も変化する。アイデンティティが破壊されたと思うのではなく、広がっていると考えよう。かつてのあなたは、あなた自身であり、いまのあなたは、あなた自身に何かが加わったのだ。もっとたくさんのものになれるチャンスがある。

 親になることは、アイデンティティが初めて変化した瞬間ではけっしてない。

 トライアスロンのためのトレーニングのような、個人的な大きなプロジェクトに取り組むことで、自分自身の認識が変化することはよくある。あなたのアイデンティティに「トライアスリート」や「最高の料理人」や「写真家」を追加しても過去のあなたを捨てる必要がないように、「親」を追加しても過去の自分を捨てる必要はない。

 私たちは、自分自身の最も厳しい批評家になりがちだ。自分にかけているプレッシャーを少し減らして、親友に抱くような思いやりと柔軟性を自分に対しても持とう。

 仕事で問題が起きて、2日連続で子どもの夕飯にチキンナゲットを食べさせた友人を、あなたは非難するだろうか。おそらく一緒に笑って、ケチャップを差し出すだろう。

 何よりも、簡単な答えはないことを認識して、(より複雑だったとしても)よりよい自分になるうえでのきつい仕事をやっているのだと考えよう。

 子どもがナゲットのマスタードソースを求めて叫んでいる一方で、在宅で仕事をこなし、朦朧とした頭でメールに返信をすることで世界的なパンデミックとの戦いに貢献した後、あなたはよりよい自分になっているはずだ。


HBR.org原文:New Mothers, Let's Talk About Your Professional Identity Crisis, August 19, 2020.


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