●アイデンティティ・クライシスから、アイデンティティ・キャピタルへ

 アイデンティティ・キャピタルとは個人的な資産で、現在のあなたを形づくるスキルや経験、資質を指す。

 一般的な若者は30歳までに8種類の仕事を経験する。20代は、自分にとってかけがえのない「永遠の仕事」を見つけるよりも、人生の過程で自分自身に投資するほうが重要だ。そして大半の人は仕事を、経済的破綻を避けるためにはどんな仕事でも見つける必要がある。 

 何をするにしても、いま現在のあなたに付加価値を与えるものを選ぼう。

 かつて私が産休に入るとき、メンターから「1年のブランクをつくってはいけない」と言われた。彼女が言いたかったのは、たとえいつもと違う状況のせいで自分の将来が棚上げされたように感じても、履歴書に書けることをしなければならないということだ。

 金融リテラシーのオンライン講座でも、技術に関する資格取得でも、GMATのための勉強でもいい。アイデンティティ・キャピタルを構築する方法は、よい仕事を得ることだけではない。

 ●「仮定(What if)」から「現実(What is)」にシフトする

 不確実な状況下でよくある誤った考え方が、破滅的思考だ。常に最悪の事態を想定する思考パターンで、私のクライアントの一人はそれを「仮定の人(What if-er)」と表現する。

 もし仕事がずっと見つからなかったら? もし解雇されたら? もし人生がうまくいかなかったら? 「もし、こうだったら」と仮定して、自分の感情のなすがままになってはいけない。落ち着いて、根拠に基づいた思考を実践し、「現実(What is)」はどうなのか問うことを心がけよう。

 あなたが想像する最悪の事態について、そうなる根拠とそうならない根拠を書き出す。自分を納得させることができれば、状況は自分が思っていたより悪くないとわかるだろう。

「この恐怖が現実になった時、何をするか」と自問自答しよう。仕事を失うことを心配しているなら、それが現実になった時に何をするかを書き出す。恐怖と対峙すると、恐怖が弱まる。それは、最大の問題であっても、乗り越えられると教えてくれる。

 ●安心探しをやめる

 重要な相手が本当に自分を大切に思ってくれているかを繰り返し確認する「安心探し(reassurance seeking)」は心理的な対処メカニズムだが、大きな広がりを見えており、問題も多い。そのため、心理学者の全国会議では「安心依存(reassurance junkies)」への対応に特化したセッションもあるほどだ。

 もしあなたが人生で何をすべきかについて1日に十数回も親に電話をするなら、安心依存かもしれない。あるいは、仕事や人間関係が続くか不安になって、セラピストに何度もメールを送るのもそうかもしれない。

 私がクライアントを安心させると、彼らはすぐに、そしてもっと不安になってより多くの安心を求めるようになる。それは半減期の短い薬のようなものだ。したがって、上司や友人、パートナーに対して、彼らが与えることのできない(与えてはいけない)保証を何度も求めるのではなく、自分の自信を高めることだ。

 過去に直面した困難な状況を考えてみよう。それを乗り切るために、あなた自身がどう対処したのか思い出す。こうして自信を得ていけば、他者だけでなくあなた自身も、自分は有能で強いと思えるようになるはずだ。