調査の一つでは、被験者に筆者らが直面した状況そのものを想像してもらった。ハイキングに誘われたが、参加するのは気が引けるというものだ。

 一部の被験者は断る側の立場に、別の被験者は断られる側の立場に立ってもらった。そして、断るときに新型コロナウイルス感染症に関連するリスクについての説明がある場合とない場合とに分けた。

「説明なし」の条件では、断る側は「申し訳ないが、ハイキングには行けない」とだけ言い、理由は述べない。

「説明あり」の条件では、断る側は「申し訳ないが、行けない。あなたも行くべきではないと思う。どんな規模のグループでも、一緒に行動すれば新型コロナウイルスをさらに蔓延させる危険性がある」と言う。この場合、断る側は「ノー」と言ったうえで、さらにリスクに関連した断る理由を伝えている。

 断る側は、友人が自分に対して感じている親しみが薄れると想像していたが、実際には、断られた側はリスクについての説明を受けたうえで断られると、友人に対する親しみが増していた。

 さらに友人の懸念を聞いた後は、イベントに参加することへの関心が薄れ、社会的なイベントが新型コロナウイルス感染症の拡大につながると伝えてくれたことに感謝の気持ちさえ感じていた。懸念を表明した友人はモラルが高く、思いやりがあると彼らは考えた。

 私たちはその後、複数の追跡調査を実施し、どのような場合にイベントを断る理由を伝えているか、あるいは伝えていないかを調べた。

 その結果、社会的な関心(相手によい印象を残すなど)を重視している場合は、福祉的な関心(コミュニティの安全を守るなど)を重視している場合に比べて、新型コロナウイルス関連のリスクに対する懸念を示さない傾向があることがわかった。つまり、誘われている相手が同僚や上司など、よい印象を与えたいと思う相手の場合は特に、自分の懸念を伝えないということだ。