DX人材育成における日本企業の課題

堀口雄哉
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部
インダストリー・コンサルティング
マネジング・ディレクター

慶應義塾大学総合政策学部卒業後、新卒でアクセンチュアに入社。製造・通信業界を中心に、新規DX事業立案、社内DXプロジェクト、顧客接点改革プロジェクトなどを多数リード。日本オフィスにおいて「COVID-19危機の影響と人々・企業への対応」の社外発信活動をリード。

堀口:ここで、実際のクライアント支援において顕在化している、DX人材育成の課題をご紹介します。COVID-19以前はDX推進に向けた人材育成への投資の重要性を認識しているものの実現に至っていないという企業が多く見られました。しかし、コロナ禍の長期化に伴ってDX推進に対するニーズが急速に高まり、今こそ人材育成に投資すべきであると考える経営層からの相談が増えています。

 DX人材の育成において、多くの企業がE-learningや集合研修などを活用した個人のスキル向上施策に注目しがちです。それらは否定されるものではないと考えますが、人材育成はあくまでDX事業を成功裏に立ち上げるための手段の一つです。従って、単にスキルセットを身に付けるだけではなく、自ら主体的に取り組み最後までやり切るマインドセットを醸成することが実は肝要です。

 このようなマインドセットを備えた人材、ないしはポテンシャル人材を見極め、登用できている日本企業は残念ながらほとんど存在しないといえます。管理職が業務管理とプロジェクト推進におけるマネジメントスタイルの使い分けができていないことから、DXの知見が少ない上司が部下のアイデアをつぶしてしまうなどの阻害が起こっているケースが多くあります。DX時代に求められる役割やスキルを経営層やリーダー層が正しく理解し、人材登用やマネジメントスタイルを変革していかなければ、どんなに質の高い研修プログラムを導入してもDX推進に資する人材を育成・活用することができません。つまり、経営層やリーダー層はDX事業に対して自らコミットすることに加え、ポテンシャル人材が活躍できる環境構築などのサポートに徹する必要があります。