自己発見による心の再配線

 初期設定の反応は、ある意味で、プログラミングしなおすことができる。筆者らの研究では、わずか10分でできるのだ。

 その出発点として、自分の心の動きを理解することから始めよう。たとえば、以下の質問に答えられるだろうか。

・あなたの集中力とエネルギーと生産性が最も高くなるのは、1日の中でいつか。
・あなたの心が不安やストレスに迷い込んでしまうのは、どのようなときか。そうなるきっかけは何か。
・睡眠は、あなたの気分や困難な瞬間への反応に、どのように影響するか。
・より気持ちが落ち着いて回復力を感じるのは一人でいるときか、それとも他人といるときか。
・自分らしい正しい判断をしているかどうか、自分でわかるか。

 より確かな自覚があれば、行動を起こせる。たとえば、自分の1日の集中力のパターンがわかると、それに応じて計画を立てることができる。集中力が最も高まる時間帯に重要な活動や会議を積極的に入れて、受動的なタスクは集中力が弱くなる時間帯に行う。

 同じように、自分のレジリエンスのレベルを上下させる要因がわかれば、質のよい睡眠を取ったり、周りの人と交流するなど、レジリエンスを高める習慣を取り入れることができる。

 テクノロジーは、より深い自己認識の追求に役立つ。筆者らのポテンシャル・プロジェクトは、集中力とレジリエンスの1週間の変化を追跡するアプリ「マインドグロウ」を開発した。パーソナライズされた「マインド・ディスカバリー・レポート」で習慣的なパターンを壊し、不確実で変化の多いこの時期に心を再プログラムするための、具体的な助言を提供している。

 ここで、きっかけになるヒントをいくつか紹介しよう。

 ●意図を確認して集中するための儀式をつくる

 誰もがとても忙しく、さまざまなタスクを自動操縦で遂行したいと思うのも無理はない。脳が自動モードを選択するのは、意識的な認知資源を蓄えやすくなるからだ。

 ただし、点検を怠ると、自動操縦が基本モードになりがちだが、それは好ましくない。そこで儀式を決めれば、タスクの開始または終了時に意図を明確にして、集中力の方向を再設定しやすくなる。

 ●周りの人に意識を完全に向ける

 オンライン会議でも普通の会話でも、目の前の話題と相手に集中する。相手はどんなふうに感じていて、何を必要としているのか。あなたはどんなふうに感じているのか。集中を維持するのが難しいときは、自分の集中力を再度向けるような質問を自分に問いかける。

 ●日常の「感覚」の経験に注意を払う

 ときおり数分間、周囲の音や食べ物の味を意識して、屋外で顔をなでる風に注意を払ってみよう。時々立ち止まって、五感があなたに伝えていることを観察するのは、心が忙しさから逃れる機会になり、あなたの意識を高める。

 私たちの新しい働き方がどのようなものになるのか、確かな答えはない。推測して、期待して、心配して、疑問に思うことしかできない。しかし、不安を克服し、目の前に広がる新しい世界に飛び込むということは、自分の意志で考えて反応するということでもある。

 立ち止まって見ようとすれば、自己発見のための道は、自分の心の中にいくつも見つかる。


HBR.org原文:Anxious About What's Next? Here's How to Cope, August 05, 2020.


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