考えず、あるがままに

 人の心は、不確実な時期も、じっくり考えれば乗り切ることができると思い込みがちだ。不確実な理由を理解すれば、何とかして解決できると、誤って確信している。

 しかし、そうはいかない。それどころか過剰な分析は、燃えている油に水をかけるように、問題を悪化させかねない。

 境界域に入ると、私たちの脳はサバイバル・モードに初期化される。不確実性と不安のレベルが高まると、扁桃体は次のいずれかの反応を示す──戦うか、逃げるかだ。

 不安や恐怖の感情から逃れようとするか、あるいは知識を集めて問題を解決しながら思考しようと格闘する。ただし、解決策が私たちの理解を超えている世界的な激動の最中には、サバイバル・モードは明らかに意味がない。

 筆者たちはここ数ヵ月間のリサーチやクライアントとの仕事の中で、そのことを繰り返し観察してきた。サバイバル・モードになった人々が、「知恵を絞ってこの危機を切り抜けよう」という精神状態で歩き回っているのだ。しかし、こうした超分析的な考え方は裏目に出て、強迫的な思考や不安を招きやすい。

 危機から抜け出す方法を考えようとすると、最初の不安をあおる思考や感情に、繰り返し注意が向いてしまう。否定的な負のスパイラルに巻き込まれ、次の新しいフェーズに集中できなくなるのだ。

 この悪循環から抜け出すために、まず、考えすぎることをやめて、訪れる感情に身をゆだねることに慣れよう。

 何が起きるのだろうという疑問にすべて答えようとするのではなく、より大きな自己発見と、より穏やかな気持ちと、レジリエンス(再起力)と、集中することに気持ちを向ける力を身につける。