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在宅勤務でバーチャル会議が続き、疲れ果ててはいないだろうか。オフィスの会議室とは異なり、小さな画面を通じて相手の言語的情報のみに頼っていると、理解に時間がかかり、誤解も生じやすい。そこで、聴覚障害者が日常のコミュニケーションに活用している視覚的要素を戦略的に採り入れることを著者らは推奨する。ペース配分からボディランゲージの使い方、服装の配慮まで、ビデオ会議を成功させるための具体的な手法を伝授する。


 在宅勤務が始まって数カ月経ち、日課となったバーチャル会議にエネルギーを奪われていると、多くの人が感じている。

 連続性や関係性、一貫性を保ちにくく、発言が少なすぎたり多すぎたり、不要に繰り返してしまったりする。注意散漫になり、関心が失せていく。次の会議に向けて会議室を移動することがないため、変化に乏しく、無気力になったり退屈を感じたりする。

 失われつつあるのは、関心だけではない。生身の交流ではないので、相手の非言語的データがばっさり削ぎ落とされてしまう。視界はPC画面の小さな長方形に狭まり、距離感がなくなる。これらの代償は大きい。相手の発する信号をとらえることができず、小さなスペースでやり取りしていると、コミュニケーションに時間がかかるわりに、理解は進まない。

 会議に次ぐ会議という容赦ないスケジュールは、誰もが経験している。しかし、それをバーチャルで行うには、これまでとは違う筋肉とスキルが必要になる。ビデオ会議にも喜びや活気があっていい。

 そこで、日常的に視覚的コミュニケーションに依存するコミュニティから聾(ろう)者と難聴者の知恵を活用しよう。最高の会議をつくり出すことができるはずだ。

 コミュニケーションには、話し手と聞き手の2者が必要だ。自分を表現する方法はたくさんあり、聞く方法もたくさんある。

 聾者のコミュニティでは、その必要性から、健聴者が日常的に使うよりも幅広いコミュニケーションの方法やさまざまな工夫を生み出してきた。このツールの宝庫を活用すれば、コミュニケーションにかかる時間を減らし、行き違いを正すことができる。

 著者の2人、すなわち聴覚障害のある経営幹部をクライアントに持つエグゼクティブ・コーチのサビーナと、聴覚障害者を対象としたギャローデット大学学長で自身も聾者であるロバータは、お互いに円滑なコミュニケーション方法を学んできた。私たちが開発したテクニックは、聴覚能力に関係なく、ビデオ会議などのバーチャル環境でより効果的なコミュニケーションを図るために、誰もが活用できる。