原則(1)人口密度を下げ、人の流れを速くする

 ショッピング中の感染リスクを下げるためには、店内の人口密度を下げなくてはいけないという点で、専門家の意見は一致している。

 その最も簡単な方法は、入店客数を制限することだ。「リトルの法則」と呼ばれる以下の定理は、人口密度と売上高のトレードオフを図るもので、ソーシャルディスタンスが小売店に与える影響を理解する有力なツールとなる。

店舗のスループット(1時間当たりの客数)=店内の客数÷店内で費やす時間(時)

 スループット(と売上高)を増やす方法の一つは、店内の客数を増やすことだ。ソーシャルディスタンスを維持しつつ、これをやるためには、フロアスペースを増やすしかない。そのため英高級百貨店ハロッズさえもリモートロケーションを確保し、レストランは駐車場店の前の路上に客席をつくっている。

 しかし、スペースに限りがある小売店の場合、リトルの法則によれば、顧客が店内で過ごす時間を短くして、スループットを上げなくてはならない。だからいま、多くの小売店は購買体験の「効率」アップに力を入れているのだ。

 平時なら、顧客にのんびり店内を回遊してもらいたいところだが、いまは顧客の意思決定のスピードを上げる商品展示を図る必要がある。店内のBGMを変えたり、素早い動きを促す雰囲気づくりも検討するといいだろう。

 買い物に助けが必要になったり、レジ前に行列ができたりすると、顧客が店内にとどまる時間は長くなる。したがってマネジャーは、顧客のニーズを先回りしたスタッフ配置を心がけるべきだ。

 顧客に店内でやってほしいのは、待つことではなく、買い物である。ホーム・デポウォルマートは、これをとりわけうまくやっている。付加価値サービスを提供するスタッフ(融資専門家など)を用意して、顧客がよりよい意思決定を、より迅速にできるようにすべきだ。