独自のテーマ設定で成果を生み出す
Responsible Businessの先進モデル

 アクセンチュアが現在取り組んでいるResponsible Businessの実践例として、福島県会津若松市における取り組みがあります。2011年に発生した東日本大震災の復興支援としてスタートしたこのプロジェクトは、長年の活動の成果によって、現在はアクセンチュアの国内における中核ビジネスの一つに成長しつつあります。ここでは「会津スマートシティ5.0ビジョン」の下、地域共通のデジタルテクノロジー基盤をアクセンチュアが提供し、その上でIT人材の育成や産業拠点の整備、自治体自身による最先端技術への取り組みなどが進められています(図4)。

 その取り組み例の1つとして、エリア内で生み出されるデータを収集・分析し、自治体やパートナー企業が新たな事業に活用していくための「スマートシティプラットフォーム(都市OS )」があります。会津のスマートシティは、あくまで「市民中心」で、市民のデータ活用への理解、合意、参加(オプトイン)を前提に展開を進めています。重要なのは、自治体や企業が独占的にデータを利用するだけでなく、地域住民や観光客などのサービスを利用する人々の視点も取り込んだ情報サービスを、地域の人々との議論をもとに展開している点です。そして、この取り組みの拡充に合わせて、アクセンチュアをはじめ、参画企業のビジネス領域も着実に成長を遂げつつあります。

 こうしたResponsible Business の取り組みは、海外の先進企業の間でも確実に拡がっています。その1つとして、欧米の大手通信事業会社では、グローバルでの事業強化のために、社会的課題の解決とビジネス成長を一体化させた「サステナビリティ・ビジネス戦略」のもとで事業変革を進めています。

アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部
ストラテジーグループ
公共サービス・医療健康 プラクティス日本統括
海老原 城一(えびはら・じょういち)

東京大学卒業後、1999年アクセンチュア入社。行政、公共事業体、民間企業の戦略立案から大規模トランスフォーメーションプロジェクトまで多くに携わる。Corporate Strategyの立案や新制度・サービスの設計から導入による効果創出を実現。近年では、技術の進展に伴うデジタル戦略策定業務やスマートシティの構想立案に多数従事。2011年の東日本大震災以降、復興支援プロジェクトの責任者を務める。

 その企業が掲げた変革のテーマは「女性の社会的地位の向上」「エネルギーイノベーション」「若者のスキルと仕事」の3つです。注目に値すべきなのは、このテーマに決めた理由は非常にユニークで、「世の中にある社会課題のうち、その解決が自社の売り上げ拡大につながるものはどれか?」という分析の結果だという点です。

 従来の社会貢献では、とかく「利益獲得を目的にはしていません」というエクスキューズが求められる傾向がありました。しかしこの事例では、通信事業ならではの強みや事業基盤を生かして、収益に結びつけられる社会課題を事業者の目から見極めており、まさにResponsible Businessの先進的なモデルだといえます。

 会津若松市や欧米の通信事業会社の他にも、国内外のさまざまな業界から実践例が聞かれるようになっているResponsible Businessについて、私たちアクセンチュアは、これまでも社会との共存を模索してきた日本企業のDNAを最大限に生かすための万全の支援体制を整えています。社会全体の持続的な発展に資する新たなビジネスの創出に向けて、多くの日本企業の皆さまと協働できる日を楽しみにしております。