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素晴らしいメンターと出会えた人は、昇進や昇給が早まったり、仕事に対する満足度が上がったりするなど、さまざまな恩恵を得られる。ただ、多くの企業がメンター制度を採用しているものの、そのほとんどが機能していない。メンターは社内から無作為に選ばれ、インセンティブも与えられないのでやる気がなく、形式だけの取り組みになっているからだ。本稿では、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部が開発した「マスター・メンター」制度を例に、効果的なメンタリング法を紹介する。


 メンター制度の過去50年を振り返ると、優れたメンターがいた人はスピーディーな昇進や高い給料、組織への大きなコミットメント、強力なアイデンティティ、そして仕事とキャリアに対する高い満足度など、仕事上、多くの恩恵を得ることがわかっている。

 プライベートな面での恩恵もある。健康や自尊心、ワークライフバランス、人付き合いのスキルが高まるのだ。うまくいけばメンター制度は、若手従業員の人生とキャリアを一変すると同時に、従業員の定着率を高め、そのポテンシャルを最大化することができる。

 現在就職活動中の人が、メンター制度のある会社を選ぶようになったのは驚きではない。実際、フォーチュン500企業の70%以上が、何らかのメンター制度を持つ。

 だが、それが幅広いインパクトを持つ保証は乏しい。最近、複数の業種の専門職3000人を対象に行った調査では、自分にメンターがいたという人は約半数しかおらず、さらにその中で会社から指定されたメンターがいた割合は25%だった。ほとんどのメンタリングは、制度的にではなく、有機的に生まれてきたのだ。

 もっと落胆するような調査結果は、会社のメンター制度に対する評価が「まあまあ」にとどまっていることだ。メンター制度によって具体的な結果が得られたと答えた人もいるが、ほとんどの人は、恩恵は乏しかったし、メンターと有意義な人間関係さえ築けなかったと答えている。