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ネットフリックスの歴史を振り返ると、同社がさまざまな危機に直面し、それを乗り越えてきたことがわかる。そこには幸運もあったが、もちろんそれだけではない。第2回は、ネットフリックスがなぜ競争を勝ち抜くことができたのか、その要因を探る。

「企業家が得る利潤とは不確実性の対価である」

フランク・ナイト(経済学者)

 ネットフリックスの歴史を振り返る(前回参照)と、彼らは単に「成功した」企業というよりは、「生き残った」企業というほうが適当だと思われる。

 ネットフリックスは創業時、そしてオンラインへの転換時に倒産しても不思議ではなかった。ヘイスティングス自身、「ネットフリックスは死んだと何度も言われた」と述懐している[注1]。いずれの困難も、ぎりぎりの踏ん張りで乗り切ったから今日がある。

 今回は「運と実力」による生き残りのうち、実力の部分について戦略的視点から分析を行う。注意しなくてはならないのは「戦略」は必ずリスク、そしてトレードオフを伴うということである。こうした認識なしに、ただの「計画」を「戦略」と混同したり、「リスクのない戦略」を求める愚を犯したりしてはならない。