(3)短期的思考か、長期的思考か

 危機においては、思慮を欠く反応は大きなリスクとなる。短期を過度に重視するCEOは、将来の事業にマイナスとなる行動を取るかもしれない。長期を重視しすぎれば、生き残るために不可欠な短期のビジネスニーズに対処できないおそれがある。

 本調査におけるCEOの大半は長期的思考を重視していたが、B2B市場のCEOは特にそれが顕著であった。オフィス物件を扱う中国最大手の不動産管理会社CEOの説明によれば、この傾向はB2B市場の「高い参入障壁」が理由であり、ゆえに経営者は「取引先の物件を扱うにあたり、相手の利益を最優先にする」必要があるという。

 しかし、B2C市場のCEOは長期バイアスに当てはまらない。無理もないことだが、彼らは消費者行動の急変に応じ、短期的な緊縮策で精一杯であった。

 とはいえ、このグループでも一部の人たちは、今後の新しいビジネスモデルを見据えている。ある消費財企業の創業CEOは、パンデミック後にオンラインとオフラインの製品・サービスをつないで顧客に提供することで、市場ポジションを強めるという構想を説明してくれた。

 短期バイアスを持つCEOは、自分の行動が自社の能力、ブランド、ステークホルダーに及ぼしうる長期的影響を意識すべきである。一方で長期的思考の傾向を持つCEOは、収益性に対するパンデミックの影響を軽視するおそれがある。「理性の声」の役割を誰かに担ってもらえば、非現実的な目標を避け、短期的な責任を果たし続けるうえで有効となる。

 リーダーは危機において、客観的かつ理性的であらねばならない。これは往々にして口で言うほど簡単ではなく、限られた時間とリソースで重要な意思決定をする場合には特に難しい。自分にはどのような意思決定バイアスがあるのか、それをどう抑えればよいのかを知ることで、今後の危機にもっとうまく対処しやすくなるのだ。


HBR.org原文:Research: 3 Biases That Shaped CEOs' Pandemic Response, July 03, 2020.


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