(1)コップの中身は「まだ半分ある」か、「もう半分しかない」か

 調査では、CEOらにおける楽観主義者(52%)と悲観主義者(48%)の割合はほぼ同等であった。

 楽観主義者に多かったのは、創業者と事業主である。創業者は自分自身の人脈の中で強固な人間関係を築いているため、景気後退の中でも事業機会を維持し活かすことができるという自信を持っていた。

 たとえば、建築照明の設計を手掛ける大手企業の創業CEOは次のように語った。「当社のブランド、長期的な顧客関係、相互の信頼のおかげで、お客様からは事業計画を継続する約束をいただいています。我々は品質を大事にしていますが、厳しい事業環境下でどう動くかが成長の決め手となるのは、今回が初めてではありません」

 悲観主義者のほとんどは、B2C市場のCEOであった。彼らは中国経済の不確実性に対する消費者心理をふまえ、市場の需要減と予備的貯蓄を主に懸念している。

 どちらの傾向についても、経営への示唆がある。楽観的なCEOは、自分および従業員間に自信、希望、レジリエンス(再起力)といったポジティブな心理状態を醸成しやすい。しかし、リーダーが危機の深刻さを軽視し、従業員や顧客、取引相手の懸念事項に耳を傾けないような場合は、前向きな姿勢が逆効果となりうる。

 一方、過度に悲観的なCEOは、恐れと不安に満ちた雰囲気を醸成するリスクがあり、そうなれば従業員の意欲喪失を招きかねない。リーダーは自社が直面する困難に対して現実的に向き合いながら、従業員にも困難に立ち向かうよう動機づける必要がある。

 自分の生来のバイアスを――楽観であれ悲観であれ――抑え込むには、オープンで親しみやすい(偉ぶらない)リーダーシップのスタイルをお勧めしたい。そうすれば、自分のリーダーシップが従業員に正しいメッセージを伝えているか否かについてフィードバックを得やすくなる。