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仕事がどれほど順調でも、私生活の危機によってキャリアが突然崩壊するリスクは常にある。親の介護だったり、子どもが抱える問題だったり、自分自身の病気だったり、その要因はさまざまであろう。個人的な事情を職場で公表して理解を求めるのは勇気がいることだが、キャリアの危機を回避するためには不可欠だ。本稿では、適切なサポートを得るための4つの戦術を紹介する。


 仕事が絶好調のときでも、プライベートで重大な問題が起こり、キャリアそのものが危うくなることがありうる。もしかすると、あなたにも心当たりがあるかもしれない。

 アニークが、10歳の娘ジャズミンから電話をもらったのは、ボストンの空港で飛行機に乗る直前のことだった。ロンドンで得意先とのミーティングに向かう母親に「いってらっしゃい」と言うためではない。パニック障害(急性不安障害)の発作を起こして苦しんでいるときだった。それがジャズミンの1年半にわたる病気との戦いの始まりだった。

 ロンダは会社のシニア・マネジャーで、その業界の思想的リーダーの一人だ。彼女は、1週間に2つも人生を一変するような重大な話し合いをしなければならなかったときを覚えている。「一つは、私の実母の追悼式をどうするかについての牧師と両親との話し合い。もう一つは、息子が自殺願望を持ったときにどう備えるかについての、息子と精神分析医との話し合いだ」

 グローバル企業で幹部を務めるデレクは、「仕事で成功を収めていたら、ポジティブな形容詞をつけて自分を紹介したいと思うだろう。まさか『アルコール依存症の』なんて言葉は使わない」と、彼は言う。幼い子ども2人と妻を抱えて、彼は初めて敗北感を覚えた。

 本稿で紹介するのは、筆者のコーチングのクライアントたちの経験だ。みな家族の危機に直面して、仕事でもピンチに陥った。問題を認めたり、助けを求めたりすることを恐れたために、雪だるま式に問題が大きくなってしまった人もいれば、定期健診や予期せぬ知らせを機に、転落が始まった人もいる。

 彼らはショックを乗り越え、不都合な真実を直視し、恥ずかしいという気持ちに対峙し、キャリアに傷をつけるリスクを冒さなければならなかった。きっかけとなった出来事に、さまざまな感情が絡まって、悪循環に陥った結果、何らかの選択をし、同僚に伝えなければならないという決断に達する。

 複数のクライアントへのインタビューと、コーチングの過程で明らかになった課題、そして筆者自身の経験から、どれとして同じ状況はない一方で、仕事と危機と家族と自分自身を管理する効果的な戦術が4つあることが明らかになった。