Illustration by Cecilia Castelli

職場でプロフェッショナルとして振る舞うためには、親としての顔や配偶者としての顔を見せるべきではないと考える人は多い。差別されたり、仕事に真剣ではないと見なされたりすることを恐れるからだ。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで仕事と家庭の境界線がなくなったいま、もはや怯える必要はない。みずからのアイデンティティを積極的に明かすことは、自分にとってもチームにとってもよい影響を及ぼす。


 長い間、働く親は、「まるごとの自分」を仕事に持ち込むこと、すなわち職業人としてのアイデンティティと個人的なアイデンティティをかみ合わせることについて、議論を重ねてきた。

 妊娠したことは、妊娠後期に入るまで隠すべきだろうか。職場で子どもの話をしていいだろうか。PTAの会議や子どものサッカーの試合に行けるよう、便宜を図ってもらってよいだろうか。

 デロイトの調査によると、従業員の61%は自分のアイデンティティを何らかの形で「隠し」、自分のある面(親としてのアイデンティティなど)を出さないようにしていた。差別されたり、仕事に対して真剣でないと見られたりするのを恐れるからだ。

 残念ながら、その懸念を裏づけるような研究結果もある。コーネル大学の研究によれば、母親(父親ではない)が職場での評価でしばしば差別を受けていることは明らかだ。母親は子どものいない従業員に比べて仕事に打ち込まないという認識は広くはびこり、「母親ペナルティ」「母親の壁」という名までついている。

 しかし、私たちがどれだけ自分の「別の面」を同僚から隠そうとしても、新型コロナウイルス感染症のせいで隠しようがなくなってしまった。

 パンデミックの最前線で社会のインフラを支えるエッセンシャルワーカーを除いて、気象予報士からニュースのアンカー、人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者、世界の一流企業のCEOまで、多くの人が在宅で仕事をしている。あのスティーブン・コルベアが書斎から自身の深夜トーク番組「ザ・レイト・ショー」を配信する日が来るなんて、考えたことがあっただろうか。私は想像すらしていなかった。

 この在宅勤務というニューノーマル(新たな常態)によって入り混じることになったのは、「親」や「従業員」としてのアイデンティティだけではない。人は誰でも、ずっと複雑な面を持っている。

 私も「職場のキャリー」と「家のキャリー」だけの存在ではない。CEOであり、メンターであり、妻であり、母であり、娘でもある(最近になって、教師、シェフ、誕生パーティのプランナーもリストに加わった)。

 私たちは自分のあらゆる側面を人目にさらさざるをえなくなった。長い間、それはとても恐ろしいことだったが、思うに、これは大きなターニングポイントなのだ。

 仕事の場で、もっと自分のアイデンティティを明かすためのヒント、そしてあなたのチームにもそれを促すためのアイディアを、いくつか紹介したい。