●事実のみにフォーカスする

 部下の気持ちを完全に理解できたと感じたら、ようやくどのように答えるかを考え始めるとよい。

 業績に関するフィードバックを与える際には、相手の価値観ではなく、事実や、きわめて特定の行動に重点を置くのが最善の方法である。漠然とした一般論を避け(「プロとしての意識に欠けている」)、自分の発言の真意を時間をかけて説明すること(「納期に間に合わず遅れることをクライアントに知らせなかったのは、先方の期待を理解していないように見える」)。

 特定のタスクに関して誰かにコーチングするときは、リアルタイムでそのスキルを身につけられるように、模範をその場で示してみるとよい。

 最後に、ミッシェルと上司の事例のように、問題を抱えている部下が近づいてきたときには、問題を解決しようとするのではなく支援することを表明し、必要とされている場面でサポートする。

 たとえば、ミッシェルがどうしてほしいと思っているのかを告げたあと、彼女の上司にできる最良の反応は、次のように述べることだった。「こうした事態があなたにどのような影響を及ぼしているのか、おかげで深く理解できるようになりました。私は何としてもあなたをサポートしたいと思っています。この状況に対するアプローチ方法を話し合うため、定期的に顔を合わせて話しませんか」

 実際の会話の場合、部下が直面している状況と、それに対してあなたに何をしてもらいたいと思っているかを話しているその姿から、できるだけの情報を集めるとよい。

 これは部下のアプローチや解決策に必ずしも賛成しなければならないという意味ではない。あなたは口を挟まずに、部下に意見を述べさせる余地を与え、積極的に耳を傾ける努力をする必要があるという意味だ。その後、最善の方法を一緒に見出すのである。

 労働力にかつてないほど多くの世代とダイバーシティが存在する現在、インクルーシブな職場環境を築くことを望むのであれば、リーダーたちは、日々不可欠なパフォーマンスコーチングをどう行うことで、皆に役立つ経験になるかを見極めるとよいだろう。

 パフォーマンスに関するメッセージを効果的に受け止められるように伝えられないのなら、従業員のパフォーマンスや士気とともに、企業の業績まで下がるのは避けられないはずである。


HBR.org原文:Mentors, Stop Saying "I Understand", July 02, 2020.


■こちらの記事もおすすめします
自分が幸福感を得るために「人助け」をしていないか
社員が「自分らしく」働ける職場は不正が起きにくい
優れたメンターはキャリアだけでなく全人格に目を向ける