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部下から相談されたとき、相手の話をしっかりと聞かず、事情を大して把握しないまま、安易に「わかります」と口にしてはいないだろうか。共感を示すこととは、理解したふりをすることではない。こうした振る舞いはあなたへの信頼を損ね、インクルーシブな職場をつくる妨げにもなる。本稿では、チームメンバーと真のつながりを築くコーチングを実践するための3つのアプローチを紹介する。


 そのミーティングは、いつもの人事評価のミーティングと同じように進んだ。ミッシェルは上司と売上げの数字や将来の目標、チームに対する貢献度について話し合った。

 その後、ミッシェルは上司のサポートを必要としている件について打ち明けることにした。他部署の同僚との関係で問題を抱えていたのである。

 その同僚を仮にデイブと呼ぼう。デイブはともにプロジェクトに取り組んでいる間、一度もミッシェルの提案を真剣に受け止めようとせず、「仕事のあとで、ちょっと一杯飲もう」というような非公式のチームの会合からも、彼女をあからさまに排除した。

 ミッシェルがこの状況を説明していると、上司は彼女の言葉をさえぎり、「どんな状況なのか理解できるし、あなたがどう感じているかもわかります。しかし、そんなことは気にせず、前に進み続けることが最善の方法だ」と告げた。そして、話題を変えたのである。

 ミッシェルはフラストレーションがたまっていくのを感じた。上司に他意はなかったのだろうが、実際にはミッシェルの置かれた状況も彼女の気持ちもわかっていなかった。

 ミッシェルは30代後半のヒスパニック系の女性で、事務アシスタントから始めていまでは社内でもトップクラスの営業担当になっていた。かたや上司は50代の白人男性で3年前に入社し、彼女がいる地域を統括するリーダーである。

 ミッシェルはまたしてもまともに取り合ってもらえなかったと感じ、不快な気持ちでミーティングを終えた。一方の上司は、自分の面倒見のよさに満足してミーティングを終えていた。

 組織で1日でも、あるいは10年でも働いた経験があれば、上記の事例と似たような話をしたり、あるいはされたりしたことがあるだろう。