パート3:文章のサンプル

 最初の面接の前後に、候補者に文章を書かせている企業は多い。しかし、この要素はもっとしっかり実行したほうがよい。適切に行えば、候補者が誰の手も借りずにどの程度の文章を書けるかがわかるからだ。

 私たちは採用する全社員に対して、大掛かりな編集作業なしで、場合によっては厳しい時間的制約の下で明晰な文章を書けることを求めている。バーチャル面接の場合、候補者が独力で執筆した確証は得られないが、私たちの手法を用いれば、候補者の文章力とコミュニケーションスキルをおおよそ把握できる。

 どのような課題を与えるかは、職種によって決まる。たとえば、顧客サービス部門であれば、腹を立てている顧客(架空の人物)からのメールと、私たちの会社の対外的なメッセージとして理想的と見なせるメールのサンプルを示す。そのうえで、サンプルを真似して、腹を立てている顧客への返信を書くよう指示する。

 返信を書く前に、可能な限りたくさん質問して、メモを取ってほしいと思っている。このとき、返信文の分量を具体的に指定することはしないが、サンプルが参考になるはずだ。

 オフィスで面接を行う場合は、静かな部屋で30~45分与えて、返信を書き上げさせることが多い。バーチャル面接の場合は、ビデオ会議での会話を30~45分中断して返信を書かせる。そのあと、オンラインでの面接を再開し、文面を検討しながら、特定の言葉や文章構造を用いた理由を尋ねる。

 私たちは提出された文章をもとに、候補者が批判的思考を実践して文章の構成とメッセージのトーンを考えられるか、全般的に思慮深い文章が書けるかを見ている。

パート4:ゲーム

 私たちは、候補者が未来の同僚たちと普段どのように接するかも知りたい。しかし、面接で「同僚はあなたのことをどのように評価していますか」「チームではどのような役割を果たすことが多いですか」といった質問を投げ掛けて、それに対する返答をもとに推測したりはしない。候補者の実際の行動を観察するのが私たちのやり方だ。

 オフィスに候補者を招いて面接を行うときは、ボードゲームをプレーさせて、ほかのプレーヤーとのやり取りを観察する。ここでは、ゼロ・サムの状況でプレーヤー同士を競わせるタイプのゲームではなく、プレーヤーが力を合わせて一つの目標を追求するタイプのゲームを用いる。

 バーチャルで面接を行うときは、コードネーム(Codenames)のように、リモート環境でプレーしやすく、しかもコラボレーションの要素があるゲームをプレーさせる。

 目的は2つだ。1つは、候補者がチームメンバーとどのようにやり取りするかを見ること。もう1つは、私たちの会社が楽しい職場であると示すことだ。

 面接の過程で候補者は多くの社員と接するが、社員の中には自分の経歴や関心事を候補者に語らない人も多い。そこで、面接のこのパートでは、候補者と共通点が多くありそうな社員が参加するようにしている。

 たしかに、候補者が多様な社員と接することは、いまのような時期には特に重要だ。しかし、面接を受ける候補者たちには、居心地よく、打ち解けた雰囲気を味わい、自分がチームに受け入れられていると感じてほしい。

 たとえば、チームメンバーが全員45歳以上で、大学を卒業したばかりの人を面接するとすれば、かならずしも社内を探して最年少の人物を連れてくることはしない。年齢に関係なく、チーム内で最も社歴が浅く、経験の乏しいメンバーを加える場合もある。そうすることで、候補者が居心地よく感じ、経験豊富な社員の前で委縮しないようにするのが狙いだ。

 このパートで行うゲームの結果そのものは、重要ではない。目的はあくまでも、3~4時間のプロセスを通じて私たちの企業文化との相性がよいかどうかを見極めることだ。

 具体的には、思慮深さ、強いエンゲージメント、好奇心、そして、そのときやっていることを楽しむために(たとえ演技でも)目に見える努力をする姿勢を兼ね備えた人物を採用したい。これらの資質は、特定の職種で採用する人にだけ求めるものではない。これらは、会社全体で重要視している資質だ。