パート1:質問

 まず理解しておいてほしいのは、私たちのプロセスが固定的なものではないということだ。

 私たちは、それぞれの候補者に期待するスキルを軸に面接を構成する。候補者にそのスキルを実証する機会を与えるようにしている。まったく同じ候補者は二人といないので、当然、まったく同じように進む面接は二つとない。

 面接を行う前には必ず、候補者に尋ねる問いを面接担当者同士ですり合わせる。それらの問いは、面接冒頭の対話パートで尋ねる。私たちは最初の45~90分を割いて、候補者と話をする。この対話に費やす時間は、あえて厳密に決めていない。どのような方向に話が進んでもよいようにするためだ。

 私たちが候補者に投げ掛ける問いは、大きく3つのカテゴリーに分類できる。

(1)候補者がどれくらい準備してきたかをテストするために、事前に調べやすいテーマについての問いを投げ掛ける。たとえば、「我が社についてどのようなことをご存じか教えてください」といった問いは、事前にグーグル検索で簡単に調べておけばすぐに答えられるはずだ。

(2)批判的思考とテクノロジーに関する知識をテストするために、イエス/ノーでは答えられない問いを投げ掛けて、会話のきっかけをつくる。候補者に独創性を発揮させることが狙いだ。

 たとえば、エンジニアの面接では、ある課題(たとえば動物の写真を表示することなど)を成し遂げるアプリを、どのように開発するかを尋ねることが多い。顧客サービス部門やセールス部門の面接では、よく使っているソフトウェアを選んで、使用方法を実演させたりする。

 オフィスに招いて面接を行っていたときは、大きなモニターを使い、マウスとキーボードを操作させて、実演させていた。新型コロナウイルスの感染拡大でオフィスに候補者を招くことが難しくなってからは、ビデオ会議システムの「ズーム」で実演してもらっている。

(3)人の話を聞く力とコミュニケーション能力をテストするためには、いくつかの質問を通じて指示を伝える。これにより、こちらが何を求めているかを候補者にはっきり示し、候補者がその指示に応えられるかを見るのだ。

 たとえば、有効にコミュニケーションを行えるかどうかを見たければ、「あなたの情熱の対象か、詳しく知っている物事、あるいは自分が名ばかりの専門家だと思うテーマについて説明してください。そのことについて私たちがまったく知識を持っていないという前提で話してください」などと言う。

 2つ目のカテゴリーと3つ目のカテゴリーの問いは、私たちがテーマを押しつけるのではなく、候補者がテーマを選べるようにする場合が多い。候補者が話したいと思うテーマで会話をしたいと思っているからだ。

 もし事前に準備する時間があったにもかかわらず、候補者が詳しく知らないテーマを選んだり、そのテーマについてうまく説明できなかったりした場合は、その面接や私たちの会社にあまり関心がないのだろうと判断する。

 一言で言えば、採用したいのは、先を読んでものを考えることができて、強い重圧がのしかかる局面でも真の知識と過去の経験を引き出せる人物だ。相手の聞きたいことを推測して答えるコツを持っているだけの人には興味がない。

 現在はビデオ会議システムを利用して、バーチャルにこのような面接を行っている。このやり方には利点もある。ビデオ会議システムを用いることにより、新たに必要になった別のスキルもテストできる。そのスキルとは、オンライン・コミュニケーションのスキルだ。

 ズームなどのプログラムを活用する能力があるかどうかも調べられるし、ビデオ会議での振る舞い方も見ることができる。この点は、今後きわめて重要なスキルになるだろう。私たちのチームのメンバーは当分の間、売り込み先や顧客、同僚とビデオ会議で話すことになるからだ。

パート2:テクノロジーに関するスキル

 対話パートのあとは、やはり45~90分くらいかけて、候補者と、その人物の専門分野のエキスパートであるチームメンバーが話をする。それに続いて、コラボレーションのスキルを試すための短いエクササイズを行わせる。

 このときチームメンバーは、採用後に携わることになる職務に関連した質問をする場合が多い。候補者がその仕事に本当に興味を持っているかを判断するためだ。顧客サービスの職では、人を助けることにやり甲斐を感じるか、電話で話すことが好きかといったことを尋ねる。

 状況によっては、候補者が何に関心を持っていて、どのような仕事に最もやり甲斐を感じるかなど、もっと間接的で一般的なことも尋ねる。愛情を持てる仕事に携わっている社員は、長く会社にとどまる傾向があるとわかっているからだ。

 エクササイズでは、候補者が実際にどのようにスキルを活用し、同僚とどのくらいコラボレーションができるかを見るための有効な設定を用意する。この活動は、特定のチームで仕事をするのがどのような経験かを知る機会にもなる。

 たとえば、エンジニア職の採用候補者には、ペア・プログラミングを行わせたりする。2人にペアを組ませて、問題解決に取り組ませるエクササイズだ。エンジニア職の採用でこの方法を採用している企業は珍しくないが、私たちは同様のチームエクササイズをあらゆる役職の採用面接で実践している。

 対話パートと同様、このパートでも、どのようなテーマを取り上げるかを事前に候補者に教えている。それにより、候補者が前もって準備してくるように義務づけることができる。

 画面共有などの機能を備えたビデオ会議システムや、プログラミングのリモート面接用に開発されたコードバンク(CodeBunk)などのツールは、この種の面接をバーチャルに行うために役立つだろう。