どれほど強力な証拠があろうと、あるいはどれほど論理的でデータに基づく主張があろうと、そこに現代の受容性における変化を加味してみよう。一握りの数の女性リーダーが、優れたリーダーシップとはどういうものかの目安となる基準をつくってきた。そして、それゆえに称賛されている。

 では、いまは、実際的で実力主義的なリーダーシップ・モデルが、時代遅れの古臭いリーダーシップ・モデルにとって代わるときなのか。

 危機とは、死に絶える準備ができていない古い生き物と、舞台の中央に立つ準備のできていない新しい存在のはざまの時期だと定義されることが多い。

 アフターコロナの世界は、自分に夢中で、タフで大胆で容赦のない男性リーダーを求める、社会全般の根強い傾向に別れを告げるときになるのか。私たちは、個人のパフォーマンスよりも集団の繁栄を重視する、バランスの取れたリーダーを選ぶ成熟性を持っているのか。

 男女平等をめぐる、過去数十年間のジェットコースターのような変遷に、気が滅入ってしまった人もいるかもしれない。しかし今回は、これまでとは大きく異なり、未来に向けた新たな選択肢(何百万人もの選択肢だ)を提供している。

 この有能なリーダーのグループは、今後何世代にもわたるロールモデルになり、政治とビジネスの両方でリーダーの選び方を変えるかもしれない。

 すなわち、この危機の中で成功を収めた強力な女性リーダーの物語は、強いリーダーとはどういうものかという大きなナラティブに変化をもたらすかもしれない。社会全体が、専門性や知性や好奇心や人間性、共感力、そして高潔性に基づいてリーダーが選ばれることに、さほど驚かず、より受容的になるかもしれない。

 この新しいナラティブが危機後も有効であり続けるかどうかは、時間が経たなければわからないが、乗り越えることを祈りたい。それはリーダーの全体的な質を高めるだけでなく、私たちの選択の結果に対する、私たち自身の信頼を高めるだろう。

 リーダーが賢くて、正直で、控えめであるほうが、人々は総じてより豊かになる。世界がこのことに気づいたのが、パンデミックがきっかけだったのは残念なことだ。

 しかし、自国の安全を守りながら、こうした資質を毎日公然と発揮するリーダーたちに大衆、とりわけメディアが恋に落ちるのを見られるのは、喜ばしいことである。この教訓は今後実を結び、もっと増えていくだろう。


HBR.org原文:Will the Pandemic Reshape Notions of Female Leadership? June 26, 2020.


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